2017 Fiscal Year Annual Research Report
Quantitative analyses of total neuron numbers at three different neuronal levels in relation to olfactory function
Project/Area Number |
15K06737
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
森泉 哲次 信州大学, 医学部, 特任教授 (70157874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 菜奈恵 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (90334888)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 嗅覚 / 嗅覚受容器ニューロン / 嗅球 / 嗅皮質 |
Outline of Annual Research Achievements |
嗅覚神経系の高位の大脳皮質である嗅皮質レベルで、嗅覚機能と嗅皮質のサイズに関する関係を明らかにする目的で研究を行い、以下の結果が得られた。 新生児ラットを対象として、右大脳皮質を広汎に吸引除去し、成長させた。1か月後に、残存する小さな右大脳皮質に嗅覚識別能があるかを判定するために、左嗅球を完全に吸引除去し左側の嗅覚神経系の影響をなくした状態で、右大脳皮質を広汎除去した10匹のラットの嗅覚機能の有無を、水とシクロへキシミド溶液を嗅いで識別する能力があるかどうかにより判定した。その結果、7匹のラットは、嗅覚識別能(+)であり、マクロ画像で判断すると嗅球に連続する嗅球後方の嗅皮質のサイズが大きく、多くのラットでは外側嗅索も識別できた。3匹のラットは、嗅覚識別能(-)であり、嗅球後方の嗅皮質のサイズは非常に小さく、外側嗅索も識別できなかった。詳細に検討すると、嗅球に続く嗅索内の前嗅核はすべてのラットで損傷はなかった。前嗅核後方の嗅皮質である梨状皮質と嗅結節の残存領域が大きいラットは嗅覚識別能(+)で、小さいラットは嗅覚識別能(-)であった。以上の結果より、嗅球からの投射を受ける3つの代表的な嗅皮質である前嗅核・梨状皮質・嗅結節に関して、(1)前嗅核は嗅覚機能には関係がないこと(2)嗅覚機能は梨状皮質と嗅結節の残存領域の大きさで決定されることが判明した。 右嗅球除去後に嗅覚学習させた成熟ラットを対象として、左外側嗅索を切断し、さらに左嗅球と左外側嗅索切断部の間の嗅皮質のニューロン群を神経細胞毒(イボテン酸)により様々な程度で破壊したラットを作成し、嗅覚識別能の有無と残存する嗅皮質の大きさを連続切片標本にて定量評価した。その結果、(1)前嗅核は嗅覚機能には関係がないこと(2)嗅覚機能は梨状皮質と嗅結節の残存領域の大きさ(正常ラットの約20%)で決定されることが判明した。
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