2016 Fiscal Year Annual Research Report
痛み刺激による覚醒反応の神経回路を実験形態学的に解析する
Project/Area Number |
15K06739
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
安井 幸彦 島根大学, 医学部, 教授 (30174501)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 達郎 島根大学, 医学部, 助教 (20508923)
横田 茂文 島根大学, 医学部, 准教授 (50294369)
有馬 陽介 島根大学, 医学部, 助教 (20782543)
|
Project Period (FY) |
2015 – 2016
|
Keywords | オレキシン / 結合腕傍核 / 痛覚 / 脊髄後角 / 三叉神経脊髄路核 / 睡眠・覚醒 / 青斑核 / 背側縫線核 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、痛み刺激による覚醒反応の発現に関わる新たな神経路の存在を、睡眠や覚醒の制御に深く関わっていることが知られている視床下部オレキシンニューロンの入出力に注目して、形態学的立場から確立することを目的とした。 平成28年度は、視床下部脳弓周囲領域(オレキシンニューロン分布域)に投射する結合腕傍核ニューロンの顔面領域への痛覚刺激による活性化について、前年度と同様に、コレラトキシンサブユニットB(CTb)を用いた逆行性標識法とホルマリンの口唇への注入によるFos蛋白発現との併用による形態学的解析を行った。その結果、外側結合腕傍核において、CTb標識された視床下部脳弓周囲領域へ投射するニューロンが痛覚刺激によりFos蛋白を発現することを認め、その数が生理食塩水を注入したコントロール群よりも優位に増加することを確認した。さらに、外側結合腕傍核から、覚醒や睡眠の制御において重要な位置を占めている青班核や背側縫線核に投射するオレキシンニューロンへの入力路について、ビオチン化デキストランアミン(BDA)を用いた順行性標識法とCTbによる逆行性標識法およびオレキシンに対する免疫組織化学を併用した形態学的解析を行った。その結果、BDA標識された外側結合腕傍核からの投射線維が、CTb標識された青斑核あるいは背側縫線核へ投射するオレキシンニューロンに近接していることが光顕的に確認された。 本研究の結果は、我々がこれまで示してきた脊髄後角あるいは三叉神経脊髄路核尾側亜核から結合腕傍核を介して視床下部脳弓周囲領域へ至る連絡路によって、痛覚情報が睡眠や覚醒に関わるオレキシンニューロンへ伝達されることを示唆している。また、外側結合腕傍核から入力を受けたオレキシンニューロンは、青斑核や背側縫線核を介して覚醒を制御していると考えられる。
|
Research Products
(8 results)