2015 Fiscal Year Research-status Report
霊長類における皮質脊髄路の並列的情報処理機構の解明
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15K06749
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
梅田 達也 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 モデル動物開発研究部, 室長 (90376723)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | premotor neuron / マカクサル |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、継シナプス性ウイルスである組換え狂犬病ウイルスを用いて1シナプスだけを介したシナプス前神経細胞をラベルする手法が開発され(Wickersham et al., 2007, Neuron)、げっ歯類でpremotor neuronが同定されている(Stepien et al., 2010, Neuron)。しかしながら、先行研究では幼若時でしか成功しておらず、まして、霊長類での成功例はない。原因として狂犬病ウイルスの筋肉から運動ニューロンへの感染効率の低さが考えられる。そこで、TVA遺伝子をコードするアデノ随伴ウイルス(AAV)を筋肉に注入し、逆行性に運動ニューロンに遺伝子導入を行う。その後、EnvAで覆われた狂犬病ウイルスを脊髄に注入し、TVAを発現する運動ニューロンに特異的に感染させる。この手法を用いた狂犬病ウイルスによるpremotor neuronの同定をラットで行い、一部のラットにおいて脊髄や延髄においてpremotor neuronの同定に成功した。しかしながら、注入方法がまだ最適化されていないためか、16匹の動物に対してpremotor neuronを同定することができた動物は3匹だけであった。このため、限られた数しか使用できないサルには、同じ実験系を使用する事が難しいことがわかった。現在、motor endplateをターゲットしてウイルス注入する事や、タイターがより高いAAVを使用する事、狂犬病ウイルスの種類を変更する事を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
TVA-EnvAの特異的血動を用いて、ラットにおいてpremotor neuronへの同定を行うことに成功したが、実験回数を重ねるにあたって、その成功確率が高くならないことが明らかとなった。限られた数しか使用できないサルには、感染効率が低い系は使用する事が難しいため、実験系の変更を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
2つの相補的なGFPフラグメントで2つの神経細胞が結合するシナプスを同定する事ができる(GFP reconstitution across synaptic partners;GRASP)。この系を用いて、霊長類における皮質下行路の系を調べることを進める。 また、マカクサルにおいてAAVを用いて運動ニューロンに効率よく遺伝子導入する系を検討する。
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Causes of Carryover |
今年度はラットを用いた予備実験に終始してしまい、マカクサルを用いた実験を行うことができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では、マカクサルを用いた実験を行うため、マカクサルの実験に必要な装置・消耗品を購入する。
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Research Products
(1 results)