2017 Fiscal Year Research-status Report
神経変性疾患：特異的異常蛋白はシナプスを越えるのか
| Project/Area Number |
15K06754
|
|---|
| Research Institution | Shinshu University |
|---|
Principal Investigator |
小柳 清光 信州大学, 医学部, 特任教授 (00134958)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿田 明美 新潟大学, 脳研究所, 教授 (80281012)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
| Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / ALS / 軸索 / TDP-43 / パーキンソン認知症 / リン酸化タウ |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
ヒト神経変性疾患を惹起する異常蛋白が脳神経系のシナプスを越えて伝播拡大するのか、を検討した。
平成27年度の研究で、古典型孤発性（s）筋萎縮性側索硬化症（ALS）の、脊髄前角細胞と舌下神経核などの下位運動ニューロンの軸索内にリン酸化（p）TDP-43陽性の顆粒-網状封入体と塊状封入体を見出し報告した。
平成28年度の本研究では（1）sALSの塊状封入体は下位運動ニューロンから数十～数百ミクロン以内の軸索に存在し、顆粒－網状封入体はそれより遠位の、数百ミクロンから数mm以上の距離に存在した、（2）顆粒-網状封入体は軸索外縁に位置し、塊状封入体は軸索中心部に位置する、（3）塊状封入体は軸索中でpニューロフィラメントに囲まれて存在するが、顆粒-網状封入体が軸索外縁に存在する部の軸索にはpニューロフィラメントは存在しないことを報告した。さらにパーキンソン認知症の脳から抽出したpタウ（神経原線維変化）をラット脳内に注入して観察した結果、注入6週後にはpタウはマクロファージに処理され消失し、脳内を拡散伝播しなかったことを報告した。
平成29年度の本研究では、sALSの脳と脊髄における、前シナプス-後シナプスのpTDP-43の連関を観察した。神経細胞に接する神経終末すなわち前シナプスのpTDP-43は，脊髄でも大脳でも観察しえず，唯一，中脳赤核の神経細胞周囲で12例中3例に認められた。しかし電顕観察で，後シナプスにはp-TDP-43は見られなかった。すなわちsALSではpTDP-43が経シナプス的に伝播拡散する所見は認められなかった。一方細胞周囲の前シナプスにpTDP-43が認められた赤核神経細胞では核内のTDP-43が消失する傾向にあり、前シナプスにpTDP-43が集積した神経細胞では蛋白合成が障害されている可能性を報告した。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究で、古典型孤発性（s）筋萎縮性側索硬化症（ALS）の、脊髄前角細胞と舌下神経核などの下位運動ニューロンの軸索内にリン酸化（p）TDP-43陽性の顆粒-網状封入体と塊状封入体を見出した。
平成28年度の本研究では、塊状封入体と顆粒－網状封入体の組織学的特徴を報告した。さらにパーキンソン認知症の脳から抽出したpタウ（神経原線維変化）をラット脳内に注入して観察した結果、pタウはラット脳内を拡散伝播しなかったことを報告した。
平成29年度の本研究では、sALSの脳と脊髄における、前シナプス-後シナプスのpTDP-43の連関を観察し、神経細胞に接する神経終末すなわち前シナプスのpTDP-43は，脊髄でも大脳でも観察しえず，唯一，中脳赤核の神経細胞周囲で認められたが、後シナプスにはp-TDP-43は見られなかった。すなわちsALSではpTDP-43が経シナプス的に伝播拡散する所見は認められなかった。一方細胞周囲の前シナプスにpTDP-43が認められた赤核神経細胞では核内のTDP-43が消失する傾向にあり、前シナプスにpTDP-43が集積した神経細胞では蛋白合成が障害されている可能性を報告した。
|
| Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成30年度には、認知症脳でリン酸化（p）タウとpTDP-43がシナプスを越えて伝播拡散するのか、パーキンソン認知症13剖検例、前頭側頭葉変性症4剖検例、認知症を伴うALS 4剖検例、対照12剖検例を用いて、脳脊髄計34箇所においてpTDP-43免疫染色とpタウにはAT8免疫染色し、pTDP-43とpタウの進展様式を明らかにする
|
-
-
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] Adult onset leukoencephalopathy with axonal spheroids and pigmented glia (ALSP) and Nasu-Hakola disease: Lesion staging and dynamic changes of axons and microglial subsets2017
Author(s)
Oyanagi K, Suzuki-Kouyama E, Inoue T, Nakahara A, Tokiwai M, Arai N, Satoh J, Aoki N, Jinnai K, Yazawa I, Arai K, Ishihara K, Kawamura M, Ishizawa K, Hasegawa K, Yagishita S, Amono N, Yoshida K, Terada S, Yoshida M, Akiyama H, Mitsuyama Y, Ikeda S
-
Journal Title
Brain Pathology
Volume: 27
Pages: 748-769
DOI
Peer Reviewed
-
-
[Presentation] Adult onset leukoencephalopathy with axonal spheroids and pigmented glia (ALSP) and Nasu-Hakola disease: Lesion staging and dynamic changes of axons and microglial subsets2017
Author(s)
Oyanagi K, Kinoshita M, Nakahara A, Satoh J, Aoki N, Jinnai K, Yazawa I, Arai K, Ishihara K, Kawamura M, Arai N, Hasegawa K, Yagishita S, Amano N, Yoshida K, Terada S, Yoshida M, Akiyama H, Mitsuyama Y, Ikeda S
Organizer
XXIII World Congress of Neurology
Int'l Joint Research
-
-
