2017 Fiscal Year Research-status Report
組換えウイルスを用いた筋萎縮性側索硬化症病変の発症進展機序の解明
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15K06763
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
渡部 和彦 杏林大学, 保健学部, 教授 (30240477)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 運動ニューロン / TDP-43 / FUS / 筋萎縮性側索硬化症 / 凝集体 / 組換えウイルス / プロテアソーム / 熱ショック応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまで,TDP-43, FUS cDNAや蛋白分解系を阻害するshRNAを発現する組換えアデノウイルスをラット,マウス末梢神経に混合接種し,ウイルスの軸索内逆行輸送による運動ニューロン細胞質内凝集体モデルを確立した (Watabe et al., Neuropathology 2014).また,より長期間にわたる観察のため,組換えアデノ随伴ウイルス9型 (AAV9) を用いたマウス脊髄前角運動ニューロン細胞質内TDP-43凝集体形成モデルを作製した. 一方,ヒト正常およびC末断片DsRed-TDP-43組換えアデノウイルスを培養ラット神経幹細胞由来分化ニューロン,グリアに感染発現させ,プロテアソーム阻害剤MG-132を負荷すると,タイムラプス蛍光撮影でDsRed陽性TDP-43凝集体が細胞質に徐々に充満し,細胞膜の破綻とともに細胞死に至り,残存した不溶性凝集体が放出される像を観察した.この凝集体はリン酸化TDP-43を含むsarkosyl不溶性の顆粒状構造物からなり,隣接する細胞に取り込まれ,時間とともに細胞質で増大し,凝集シードとして機能することを確認した (Ishii et al., PLoS One 2017). さらに,上記の培養TDP-43細胞質凝集体形成モデルに対して,ヒトheat shock transcription factor 1 (HSF1)を発現する組換えアデノウイルスを共感染させたところ,凝集体形成が顕著に抑制された.そこで,HSF1の制御下にある熱ショック蛋白heat shock protein 70 (HSP70), DNAJB2a/b, HSPB8または HSPH3を発現する組換えアデノウイルスを同様に共感染させたが,明らかなTDP-43凝集抑制効果を認めなかった.現在,他の候補分子の効果について順次検討を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1.組換えアデノウイルス,AAV9,レンチウイルスの作製:①ヒト正常および変異TDP-43またはC末断片TDP-43,正常および変異FUS, SOD1, VCP, UBQLN2組換えウイルス,②蛋白分解系に関与する遺伝子 (PSMC1,VPS24,ATG5, ATG7) に対するshRNAを発現する組換えウイルス,③HSF1およびの制御下にある熱ショック蛋白HSP70, DNAJB2a/b, HSPB8, HSPH3を発現する組換えウイルスを作製した. 2.培養細胞における検討:ラット神経幹細胞由来分化ニューロン・グリアに上記組換えウイルスを感染させ,TDP-43凝集体形成がHSF1組換えウイルスの共感染により顕著に抑制されることを見出したが,HSF1の制御下にある熱ショック蛋白HSP70, DNAJB2a/b, HSPB8, HSPH3の抑制効果は認められなかった. 3.研究代表者の所属および実験実施場所の変更によって実験施設の整備に時間を要し,当初予定していた動物実験の遂行に大幅な遅れが生じた.現在,P2A動物実験施設の整備が完了し,鋭意実験遂行中であるが,なお時間を要する.
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Strategy for Future Research Activity |
1.培養運動ニューロン・グリア細胞における凝集体形成と細胞死の解明:前年度に引き続き,ラット神経幹細胞由来分化ニューロン・グリア細胞培養系に加えてマウスES細胞,ヒトiPS細胞由来分化運動ニューロンに組換えウイルスを感染させ,凝集体の形成過程を経時的に解析する.また,熱ショック関連分子組換えウイルスや低分子化合物の細胞質凝集体形成抑制効果を検討する. 2.成体マウス運動ニューロンにおける凝集体形成と細胞死の解明:前年度に引き続き,組換えウイルスの逆行輸送による運動ニューロンの凝集体形成解析をすすめる.また,培養系と同様に,上記した熱ショック関連分子組換えウイルスや低分子化合物の成体運動ニューロン内細胞質凝集体形成抑制効果を解析し,ALSの治療法開発に繋げていく.
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Causes of Carryover |
(理由)研究代表者の所属および実験実施場所の変更によって実験施設の整備に時間を要し,当初予定していた動物実験の遂行に大幅な遅れが生じた.現在,P2A動物実験施設の整備が完了し,鋭意実験遂行中であるが,なお時間を要する. (使用計画)培養細胞実験および動物実験に必要な備品,消耗品費(総計270千円);培養器具消耗品費として,培養基材,チューブ,ピペットなどに計70千円,実験動物として,3-4ヶ月齢ICRマウス200匹,3-4ヶ月齢Fischer 344雄ラット30匹の購入に計200千円を計上.
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[Journal Article] A spontaneously immortalized Schwann cell line from aldose reductase-deficient mice as a useful tool for studying polyol pathway and aldehyde metabolism.2018
Author(s)
Niimi N, Yako H, Takaku S, Kato H, Matsumoto T, Nishito Y, Watabe K, Ogasawara S, Mizukami H, Yagihashi S, Chung SK, Sango K.
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Journal Title
J Neurochem
Volume: 144
Pages: 710-722
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] L-leucine and SPNS1 coordinately ameliorate dysfunction of autophagy in mouse and human Niemann-Pick type C disease.2017
Author(s)
Yanagisawa H, Ishii T, Endo K, Kawakami E, Nagao K, Miyashita T, Akiyama K, Watabe K, Komatsu M, Yamamoto D, Eto Y.
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Journal Title
Sci Rep
Volume: 7
Pages: 15994
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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