2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K06769
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
野住 素広 新潟大学, 医歯学系, 講師 (00420323)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 成長円錐 / アクチン / エンドサイトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
成長円錐の先導端は伸長する軸索の最前線で、膜上で生じる多様な受容体-リガンドの相互作用によって神経成長・再生、シナプス形成が決定付けられる。本課題研究では、超解像顕微鏡(構造化照明法、SIM)を用いて、成長円錐の先端部でF-アクチンの伸長および束化によるフィロポディアの形成が生じるとき、その近くでシナプトフィジン(Syp)陽性の小胞が生成することを明らかにした。生じたSyp小胞はアクチン-ミオシン相互作用で生じるアクチン逆行性流動に依存して、成長円錐の中心部に向かって移動した。先導端でSyp小胞が生じる際、クラスリンの集積は見られず、代わりにエンドフィリンおよびダイナミンが共局在した。先導端のSyp小胞がクラスリン介在性エンドサイトーシス(CME)ではなく、エンドフィリン介在性エンドサイトーシス(EME)で生じることを阻害剤とRNAi実験で明らかにした。3D-SIMで成長円錐におけるF-アクチンの空間分布を調べた結果、先導端では基底部近くに配置し、中心部に近くなるほど高い位置に配置していた。すなわち成長円錐の周辺領域でF-アクチンが山の稜線を描くように配置しており、主要なF-アクチンが成長円錐の基底面ではなく、表面に沿って分布していることが示唆された。同じ手法でクラスリンは成長円錐中心領域の基底部に多く分布したのに対して、エンドフィリンは周辺領域でF-アクチンと共局在することが分かった。これらの結果は、成長円錐でCME、EMEが空間的に区別できるエンドサイトーシス経路として存在することを強く示している。 Syp小胞は成長円錐膜のコレステロールを選択的に取り込み、成長円錐で高発現の膜蛋白質であるGpm6aの取り込みにも寄与することを明らかにした。先導端で生じるEMEによって脂質ラフトが関与する神経成長・極性形成のシグナルが制御されている可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)成長円錐のF-アクチンとエンドサイトーシスの関係を超解像で初めて明確に示した。 2)先導端のエンドフィリン介在性エンドサイトーシスがアクチン束形成と同時に生じることを明らかにした。 3)先導端で生じるSyp小胞が形質膜の脂質ラフト取込みに寄与する可能性を示唆した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)先導端のエンドフィリン介在性エンドサイトーシスと神経成長シグナルの関係を明らかにする。 2)3D-SIMによる成長円錐内部構造の同定を進め、立体的で精密な構造-機能関係の解明を進める。
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Research Products
(6 results)