2016 Fiscal Year Research-status Report
Development of pluripotent gene expression indicator using CRISPR/Cas9 genome editing and the study regarding tumorigenicity of human pluripotent stem cell-derived neural stem cells.
Project/Area Number |
15K06779
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今井 貴雄 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (10383712)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経幹細胞 / ゲノム編集 / Oct4 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、ヒトinduced Pluripotent Stem cell (以下 ヒトiPS 細胞)を用いた再生医療の現実化に向けて様々な組織の細胞への分化を可能にする技術の進展がなされている。神経系組織における再生医学においては、マウス、ラット、マーモセットなどのモデル生物系を用いて、脊髄損傷に対する神経幹細胞移植療法研究にiPS 細胞から分化処理を行った神経幹細胞が用いられており、有用性が確認されている。しかし、分化処理を施した神経幹細胞の腫瘍原性が問題になっており、分化プロトコールの改良などに対処しているのが現状である。本研究では、分化誘導して産生された神経幹細胞に特有の腫瘍原性のメカニズムが存在すると考え、この可能性の検証を目的とした。 初年度の平成27年度においては、ゲノム改変技術によって、ヒトES 細胞由来神経幹細胞のゲノム上のOct4 遺伝子座に各種レポーター遺伝子または機能性遺伝子を組み込み、単クローン性、および、他のゲノム上に導入遺伝子が組み込まれていないことの確認を行った。平成28年度は、これらの細胞を用いて、神経幹細胞の分化アッセイを行い、神経細胞・アストロサイト・オリゴデンドロサイトの3種類の細胞が生じることを確認した。また、Oct4 遺伝子座にレポーター遺伝子を挿入されたヒト神経幹細胞に、外来的にOct4遺伝子を発現させ、増殖培養を行った際の細胞の挙動を、増殖性、神経幹細胞の指標遺伝子の発現、多能性指標遺伝子の発現を検証する複数の項目で課題研究作業を行った。これらの結果を元に、平成29年度の実験計画を進め、本研究課題の完了を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度においては、CRISPR/Cas9システムを用いたゲノム編集技術によってヒトES 細胞由来の神経幹細胞のゲノム上のOct4 遺伝子座に各種レポーター遺伝子を組み込んだ細胞の挙動解析を行った。過程において、2016年8月に研究代表者の異動があったため、研究拠点を異動先の研究室(慶應義塾大学医学部化学教室・日吉キャンパス)と異動前の研究室(慶應義塾大学医学部生理学教室・信濃町キャンパス)の2か所にて行うことになった。研究の遂行と環境維持のため、前所属の慶應義塾大学医学部生理学教室の協力を得て、共同研究として随時の研究訪問を可能にして頂いたと同時に、異動後の研究室の研究環境の整備・立ち上げを行うことになった。このため、平成28年度中に行う予定であった研究項目のいくつかは行えなかった。このため、「やや遅れている」と判断した。遅れを生じた研究項目に関しては、平成29年度に行う予定の研究と合わせて行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に行う研究内容は申請書記載の研究計画の通りに行う。平成28年度に行う研究の一部が残ってしまったが、研究計画の3か年に間に合う様に研究の完了を目指す。
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Causes of Carryover |
平成28年度の未使用額が直接経費の約0.6%生じたが、概ね計画通りに使用できたと考えている。研究物資を購入・調達するに当たり、複数の代理店からの見積もり書を入手し、比較したうえで、品質の良い状態を保ちつつ最低価格で入手できる代理店を選定することを行った結果、値引き分に相当する額が本年度の11,275円が残額として計上された。費用対効果を慎重に行ったが故に生じたと考えられ、残額としては許容範囲内で軽微なものと考える次第である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度の補助金は、受領した資金を計画に則って残額を生じることが無いように使用する予定である。
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Research Products
(2 results)