2015 Fiscal Year Research-status Report
スプライシング異常に着目した統合失調症発症機構の解明と新規RNA医薬の開発
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15K06787
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Research Institution | Chukyo Gakuin University |
Principal Investigator |
眞部 孝幸 中京学院大学, 看護学部, 教授 (90382283)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | スプライシング / 精神疾患 / hnRNPA1 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの遺伝子は高々2万数千個であるが、選択的スプライシングを行う事で、10数万種にもおよぶ蛋白質分子を作り出す。AS調節機構は精巧に制御され、この調節の破綻は時に重篤な疾患発現の引き金となる。各種精神疾患においても、種々の遺伝子の選択的スプライシング異常が報告されている。統合失調症(SZ)は、妄想や幻聴などを主症状とする慢性精神疾患で、罹患率は1%にも及ぶ。SZの発症には多くの遺伝・環境要因が複雑に関与し、明瞭な原因解明も根本的治療法の開発も未だなされていない。近年、多くのSZ関連遺伝子のAS異常が報告されているが、異常選択的スプライシングに積極的に焦点を当てた研究は殆どない。そこで、SZ患者の広範な病態と、グローバルな選択的スプライシング因子hnRNPA1(A1)との間に相関性があるのではないかと仮説を立て研究を行ってきた。その結果A1の発現は過剰でも過少でもミエリン化を攪乱させ、この現象にはSZに関連するMMP群が関与していることが明らかになってきた。一方、A1はNeuregulinシグナル関連因子の選択的スプライシングを広く阻害させることもわかった。一方、ヒトのオリゴデンドロサイトでは、少なくとも3つのA1アイソフォームが存在することが最近わかってきた。現在、これらアイソフォームの詳細な解析を行っている。 これら新知見は、SZ等精神疾患解明、その予防・治療法開発に繋がる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オリゴデンドロサイト分化時における選択的スプライシング異常が、統合失調症患者でみられるスプライシング異常に酷似していること、それにhnRNPA1が関与していること、またその異常スプライシング様式が順調に明らかになってる。 一方で、hnRNPA1に少なくとも3っつのアイソフォームがあることが明らかとなってきたことにより、従来のアイソフォームでは説明できなかった部分を明らかにできるのではないかと期待でき、これらを明らかにすることでより一層研究が発展する可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、前述の3っつのアイソフォームの詳細を決定し、それらの個別の機能を明らかにし、従来のアイソフォームだけでは説明できなかった統合失調症患者でみられる選択的スプライシング異常を、より広く明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
参加できなかった学会が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度、UV照射器を購入する必要が生じたため、それに使用予定である。
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