2015 Fiscal Year Research-status Report
Reelinシグナルによるゴルジ体ダイナミクスが神経細胞の発達に果たす役割
Project/Area Number |
15K06795
|
Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
松木 亨 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 発生障害学部, 主任研究員 (90332329)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | Reelin / PKC / Stk25 / GM130 / ゴルジ体ダイナミクス / 神経細胞の発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度では、これまでに得られたプレリミナリーなデータ検証をまず行った。In vitroで得られていた、GM130のリン酸化(pS300)がゴルジ体伸長を促進する知見についてin utero electroporationにより、リン酸化型(S300E)および非リン酸化型(S300A)GM130をマウス胎児脳へ導入したが、in vitroで見られたような明らかなゴルジ体構造の変化が見られなかった。そこで、GM130の配列について新たにリン酸化予測ソフトウエアiGPSで検索したところ、Ser300はPKCによりリン酸化を受けるサイトであると予測された。加えて、質量分析がカバーしている領域は62%のみであるため、現在、質量分析でカバーされてないPKCによるリン酸化部位の確認をするために、放射性同位体を用いたキナーゼアッセイをGST融合蛋白を基質にして行う準備を進めている。また、新たにStk25, GM130とPKC epsilonが相互作用することも明らかとなった。特にPKCepsilonは、Reelin刺激に応答して10分後に活性化が最大になり、その後30分後までに減衰する。この活性化パターンは、これまでReelinシグナルの指標である刺激後20-30分のDab1のチロシンリン酸化とは異なる。さらに、刺激に応答してPKCepsilonとGM130の結合が変化することも分かった。これまでに明らかとなった上記の結果は、これまで報告されていなかったものであり、Reelinシグナルによるゴルジ体構造の制御機構と神経細胞の発達機構との関連性、さらに神経系の発達とその後の高次脳機能の分子機構へのゴルジ体ダイナミクスの関与を明らかにできる可能性を示している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、in vitroの実験で得られた結果とin vivoでの実験結果との整合性が取れなかったため、最初に立てた仮説に不備があったと判断し、研究方向の修正を行ったため。しかしながら、現在までに得られている結果は、申請課題において最も重要な根幹をなす仮説を完全に否定するものではないため、大筋では研究の方向性に問題は無いものと確信できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は修正した計画に基づき、まずPKCepsilonによりGM130のリン酸化部位の同定を行う。また、PKCepsilonの活性型変異体、不活性型変異体を作製し、in vitroおよびin vivoにおいてPKCepsilonがゴルジ体伸長に関わるかを確かめる。これらについては、基本的にはこれまでの実験計画調書に記載した方向で研究を進めていく。さらに、PKC epsilonがStk25, GM130, AKAP450と相互作用をすると共に、Reelin刺激により神経細胞でゴルジ体に一過性に局在を変化させることも明らかになった。この点を踏まえ、今後は各々の分子の機能と複合体形成が、リーリンシグナルが引き起こすゴルジ体ダイナミクスや樹状突起形成・伸長機構に果たしている役割を解明していく。
|
Causes of Carryover |
研究が当初想定した仮説のとおりには行かず、予定していた実験を全て出来なかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
修正済みの研究計画に沿って、本年度は予定されている実験をするために生じた差額分を含めて使用する事で、計画の遅れを取り戻す予定である。
|