2016 Fiscal Year Research-status Report
Reelinシグナルによるゴルジ体ダイナミクスが神経細胞の発達に果たす役割
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15K06795
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
松木 亨 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 発生障害学部, 主任研究員 (90332329)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Reelinシグナル / 神経分化 / ゴルジ体 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度では、これまでに得られたGM130のリン酸化部位がneuronal migrationやdendritogenesisに果たしている役割を検証してきた。これまでに質量分析の結果明らかとなった、GM130のS300E変異体では何も変化がなかったため、リン酸化予測ソフトウエアを用いた解析から、複数のリン酸化予測アミノ酸残基がPKC epsilonの基質となりうることが明らかとなった。このアミノ酸残基A, Bとする。A,BはともにPKC epsilonによるリン酸化を受けることが、in vitro kinase assayにより明らかとなった。非常に興味深いことに、アミノ酸残基Bのリン酸化模倣変異体B’をin utero electroporationにより脳室下帯の神経細胞に導入したところ、neuronal migarationの停止とともに、dendriteの優位な伸張が認められた。ゴルジ体たんぱく質である、GM130のリン酸化の生理的重要性は、これまでSer25のリン酸化のみ報告されており、このリン酸化は、対細胞分裂時に生じることでゴルジ体の断片化を引き起こすことが明らかとなっている。本研究で見出している、GM130のリン酸化部位は、それとは異なったアミノ酸残基であり、しかもReelinシグナル下で活性がコントロールされるPKC epsilonにより引き起こされるという、これまでに報告されていなかったものである。それゆえ、引き続き本研究を遂行することにより、Reelinシグナルによるゴルジ体構造の制御機構と神経細胞の発達機構との関連性、さらに神経系の発達とその後の高次脳機能へのゴルジ体ダイナミクスの関与を明らかにできると確信している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
28年度に研究課題の実験方針を軌道修正を行ったが、その後は予想通りの結果が得られつつある。さらに、リン酸化特異抗体の作成にも成功しつつあるので、今後はさらに研究が順調に進むことが期待される。また、現在までに得られている結果は、課題申請時に想定していたものより予想に反して大きなインパクトを持っていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はこれまでに修正した計画に基づき、in utero electroporationを用いてreeler mice脳内にPKC epsilon constitutive active formを導入することにより、通常では起こりえない樹状突起の伸張や、ゴルジ体蛋白の構造変化、GM130のリン酸化が生じるかどうか、さらにここの現象の関連性などを明らかにしていき、論文として専門誌に成果発表を行う。
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Causes of Carryover |
課題研究の遂行において、27年度に若干の未使用金が発生し、28年度の請求額に加算されたため。さらに、28年度に若干の研究方針の修正があったため、使用額に若干の変化が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、修正した研究計画に沿って必要となる消耗品、特にシグナル研究に必須となる特異抗体の購入等に直接経費を主に当てると共に、迅速に研究成果の投稿を行っていく。
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