2017 Fiscal Year Research-status Report
Role of Reelin regulating Golgi apparatus dynamics in neuronal development
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15K06795
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
松木 亨 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 発生障害学部, 主任研究員 (90332329)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Reelinシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに行った実験からは、前年度の実績報告書に示したようにReelinによる神経細胞移動と樹状突起伸張の制御がゴルジ体の構造制御と密接に関連している事が明らかになってきた。平成29年度では、Reelinシグナルと拮抗的に働くStk25が、これらの生理現象においてどの様な役割を担っているのかを明らかにするために実験を行った。結果として、Stk25およびその同じグループに属するMST3は、非常に良く似た働きを担っており、神経細胞の発達過程においてお互いの役割を代償出来ることが分かった。 また、神経細胞の発達時期におけるこれら二つの分子の役割を比較した時、必ずしも同一ではないことも分かった。すなわち、Stk25についてはキナーゼ活性を持つものの、必ずしもそれは必要ではなく、キナーゼ活性を持たない変異体でも神経細胞移動や神経極性制御を正常に機能させることが出来る。しかし、MST3においては神経細胞移動を正常に行わせるためにはキナーゼ活性が必要である。qPCRによる結果からは、Stk25 mRNAがMST3 mRNAよりもiPS細胞からの神経分化誘導時にどの段階においても発現量が多いことが分かった。このことは、通常Stk25が機能分子として働く一方で、MST3が補佐的な役割を担っている可能性が示唆された。 今回の研究からは、神経系の発達においてゴルジ体構造制御の動的恒常性を制御するシグナルとしてのReelinシグナルの役割と、拮抗的に機能するStk25シグナルの重要性が明らかとなった。特に、Stk25とMST3の相補的代償機能は、これまで生体の発達を正常に行うためのメカニズムとして想定されてきた代償機構について、同じファミリー内の相同性の高い二つの分子による神経細胞の発達への関与が初めて明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
神経細胞におけるStk25とMST3の役割を明らかにする上で、神経細胞の培養系と過剰発現系、ノックダウンを行う実験系は必須であるが、レンチウイルスを用いた実験系を立ち上げるために、時間がかかっている。また、Stk25とMST3に関与する分子についてのシグナルカスケードを明らかにするため、多くの遺伝子のクローニング等で予定より時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究で、大脳皮質形成時に見られる神経細胞移動が、Stk25とMST3の下流でRho-GTPaseの働きを制御することで行われている事を示唆するデータを得ている。そのため、Stk25とMST3に繋がる上流および下流のシグナルカスケードを明らかにし、どのような制御機構によって神経細胞移動が達成されているのかを明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
研究に遅れが生じており、次年度に完了するまでの予定額が残ったため。次年度使用額については、研究計画に沿って使用する予定である。
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Research Products
(2 results)