2016 Fiscal Year Research-status Report
GDF5を標的とした変形性関節症モデルマウスの開発
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15K06797
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
古市 達哉 岩手大学, 農学部, 教授 (30392103)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 疾患モデルマウス / 変形性関節症 / GDF5 |
Outline of Annual Research Achievements |
M856マウスはGDF5遺伝子にW408Rミスセンス変異を持ち、W408Rホモ接合体の肘関節には、早発性に変形性関節症 (OA)様の病態が観察される。しかし、ホモ接合体・ヘテロ接合体ともOAの発症時期・加齢による進行度などは不明な点が多く、OAモデル動物としての評価は十分に行われていない。一方、STR/ortマウスは自然発症のOAモデルであり、複数のOAの遺伝要因を持つことが示されているが、これらは未同定のままである。 本研究の目的は、1) GDF5のW408R変異により誘発されるOAの病態機序を解明すること、および、2)STR/ort遺伝背景にW408R変異を導入したコンジェニックマウス (Str/ort-W408R系統)を作成し、病態の再現性に優れた新規OAモデルマウスを開発することである。H28年度の実績は下記の通りである。 1)C57/BL6の遺伝背景に W408R変異を導入したコンジェニック系統 (B6-W408R)を作製し、10週齢時の野生型B6、およびB6-W408Rマウスの肘・膝・手指・足指の関節の組織切片を作製し、病態を観察した (n=10)。その結果、B6-W408R系統 (ヘテロ接合体)のほとんどの個体の手指および足指の関節軟骨は変性し、OA様の病態を示したが、肘・膝関節は正常であった。2) STR/ort-W408R系統の作製については、7世代までのコンジェニック化が終了し、組織学的解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的1 (W408R変異によるOA発症機序の解明) : これまでW408Rの変異効果は、C57BL/6とDBA/2を混合した遺伝背景で観察していたが、B6-W408R系統の樹立によって、近交系の遺伝背景で観察することが可能となった。そして、B6-W408R系統の関節病態をある程度明らかにすることができた。 目的2(W408R導入STR/ortマウスの作製) : STR/ort-W408R系統の作製については、7世代までのコンジェニック化が終了し、病態解析を開始することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
目的1 (W408R変異によるOA発症機序の解明) : B6-W408R系統の関節病態の解析を更に進める。DNAマイクロアレイ法によって、GDF5とW408R変異タンパクを添加した軟骨細胞間で発現量が大きく異なる遺伝子群を同定し、W408R変異によって阻害される細胞内シグナル伝達経路を明らかにする。 目的2(W408R導入STR/ortマウスの作製) : 作製したSTR/ort-W408R系統、STR/ort系統、及び、B6-W408R系統を用いて、OA病態の病理学的評価、血清学的評価、遺伝子発現評価を行う。
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Research Products
(5 results)