2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K06809
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
板野 理 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (90265827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淵本 大一郎 国立研究開発法人農業生物資源研究所, その他部局等, 研究員 (10343998)
大西 彰 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (30414890)
北郷 実 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70296599)
鈴木 俊一 国立研究開発法人農業生物資源研究所, その他部局等, 研究員 (90391581)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / 免疫不全ブタ / ゼノグラフトモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、体細胞クローン技術により作成された重度免疫不全ブタ、Il2rg-KOブタに対してヒト癌細胞を移植することにより、大動物ではなければ困難な抗腫瘍治療実験に適した動物モデルを開発し、その有用性を検証する。現在大動物担癌モデルは存在せず、既に臨床に用いられている治療も科学的論拠もなく経験や治療成績に基づいたトライアンドエラーの結果行われているものが多い。当モデルではいままで不可能であったIVR治療や、リンパ節郭清・肝切除・ラジオ波焼灼術などの外科手技、内視鏡治療や全身化学療法の治療効果およびその組み合わせ治療の相乗効果の実験が、採血データや病理組織、分子生物学的手法など科学的データに基づいて検討可能となり、新規治療開発を容易にし、臨床研究を効率化して医療の進歩と経済に大きな変化をもたらす可能性を持つ。 これまでに、ヒトがん細胞株の皮下生着実験、ヒト肝細胞株HepG2の経皮的肝内局注実験、血管造影検査施行下のCT検査(CTAP/CTHA)による画像評価実験を施行下。皮下生着実験では肝細胞癌株HepG2をを含む各種ヒトがん細胞株の皮下局注を行い、いずれの細胞株も生着することを確認した。次にHepG2を超音波ガイド下に肝内に局注し、経時的に腹部超音波検査による腫瘍生着及び増大を確認した。肝内局注より約4週後にCTAP/CTHA検査を施行し早期濃染を伴う腫瘤を認め、同部を病理学的に評価した。画像所見、病理所見ともに肝細胞癌に矛盾しない所見であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に肝細胞癌ゼノグラフトモデルの作製に成功し、画像的・病理学的にその妥当性を評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策として、①作製した肝細胞癌モデルに対する血管内治療実験、②癌細胞株を含む細胞シートの肝内への埋没実験を予定している。既に確立した経皮的な局所注射法で作製したモデルは、多発肝細胞癌モデルに相当する。CTAP/CTHA検査により早期濃染、washoutという肝細胞癌に特徴的な所見を認めており、これを利用した経皮的肝動脈化学塞栓治療(TACE)を施行し、病理学的変化を経時的に評価する。また、肝切除や局所焼灼療法の対象となる肝細胞癌モデルの作製を行うため、細胞シートを小開腹下で直接肝被膜下に埋没縫合する実験を行い、2種類目のゼノグラフトモデルとする。本モデルの作製に成功した場合、局所焼灼療法による腫瘍の変性などを画像的・病理学的に評価する実験を行う。
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