2015 Fiscal Year Research-status Report
胸腺腫・筋萎縮発症モデルラット原因遺伝子の次世代シークエンス解析と発症機構の解明
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15K06812
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
市原 正智 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (00314013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村雲 芳樹 北里大学, 医学部, 教授 (40324438)
祖父江 沙矢加 中部大学, 生命健康科学部, 助教 (50513347)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 胸腺腫 / 筋萎縮 / 次世代シークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
受託の全ゲノム解析により同定された、エクソン上のDNA変異情報は既に入手されており、PolyPhen-2およびSIFTによる予備的解析から、胸腺腫に関連した遺伝子変異としては3つの遺伝子の変異が当初予想された。一方過去に連鎖解析により予想された変異部位(D7Wox16-D7Rat69)は確率的には境界が不明瞭で有り、この外側に原因遺伝子が存在する可能性も否定できなかった。NCBIにはBUF/N, ACI/Nなど他のラット系統の全ゲノム配列が公開されていたため、当初これらとBUF/Mnaとの遺伝研のスーパーコンピュータを利用した比較を予定していた。その後の文献検索で42種類のラット系統間の遺伝子変異の比較情報発表したことを見いだした。これよりエクソン変異に関する情報を抽出しreference配列との比較でアミノ酸変異を来す配列が、42種類のラット系統間には存在するかどうかを比較することで、BUF/Mnaに固有のエクソン変異を同定することを試みた。この解析により胸腺腫関連遺伝子として7番染色体の3種類を候補としてさらに絞り、また筋萎縮関連遺伝子として1番染色体より2遺伝子を候補として抽出した。胸腺腫関連遺伝子は分子機能の文献的考察より遺伝子Aが原因遺伝子である可能性が高いと判断した。さらに共同研究者でBUF/Mna系ラットを樹立した藤田学園保健衛生大学の松山博士より、BUF/Mna系ラットを含み胸腺腫の形成をみるBUF/MnaとACI/Nの雑種より胸腺腫および正常胸腺の組織を入手した。現在これらのサンプルを利用して、遺伝子Aの発現量を遺伝子発現およびタンパクレベルで検討を進めている。さらに遺伝子AのcDNAをPCRクローニングし配列の確認と発現ベクターへの挿入が完了した。同定された変異を導入し変異によるタンパク機能への影響を検討する予定にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BUF/Mnaラットから次世代シークエンス解析により同定した遺伝子変異情報を42種類のラット系統と比較する事で、胸腺腫、筋萎縮に関連した遺伝子候補をそれぞれ3および2遺伝子に絞ることが出来たこと、およびこの内から胸腺腫関連遺伝子をクローニングし、機能解析を進めることができた点より実験計画に従いおおむね順調に進んでいると判断された。こうした遺伝子の文献的検討からは、これらの遺伝子はそれぞれ胸腺、筋肉の成熟と関連しており、変異の導入によるタンパク機能の変化の詳細な検討を実施しつつある段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
1) BUF/Mna系ラット由来、胸腺腫発症コンジェニックラットにおける遺伝子変異の検討ACI系統へ退交配したコンジェニックラットである胸腺腫発症ACI.BUF-(D7Wox16-D7Rat69)/MnaラットのDNA、胸腺腫の形成をみるBUF/MnaとACI/Nの雑種より胸腺腫発症ラットと非発症ラット間で遺伝子変異に差が見られるかを各候補遺伝子について検討し、原因遺伝子であることの傍証を得る。 2) 胸腺腫、筋萎縮関連候補遺伝子の正常マウスにおける発現量および発現分布検討を加える。 3)候補遺伝子に変異を加えて野生型との間でタンパク質の安定性の評価と共に遺伝子産物がgrowth assay、transforming activity、invasion assayなど細胞機能検討で影響を与えるかどうかを評価する。また候補遺伝子の予測される機能から適宜、適当なassayを選び、野生型と変異型間で機能差を認めるかどうかの評価を行う。こうした評価で平成28年度中に最終的な同定を完了することを予定する。
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Causes of Carryover |
平成27年度はin silicoでの解析を重点に検討を進めたこと、および購入業者の値引きが有り予定より残余が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に新たに予定している培養関連費用等で支出が計画以上の支出が予定されるためこれにあてる。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Resveratrol-induced transcriptional up-regulation of ASMase (SMPD1) of human leukemia and cancer cells.2016
Author(s)
Mizutani N, Omori Y, Kawamoto Y, Sobue S, Ichihara M, Suzuki M, Kyogashima M, Nakamura M, Tamiya-Koizumi K, Nozawa Y, Murate T.
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun
Volume: 470
Pages: 851-856
DOI
Peer Reviewed
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