2016 Fiscal Year Research-status Report
リン酸化シグナルをターゲットにした非遺伝毒性発がん物質スクリーニング法の開発
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15K06846
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
吉崎 尚良 金沢医科大学, 医学部, 講師 (00443490)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リン酸化モチーフ |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、これまでの研究から178のリン酸化モチーフを同定しリン酸化モチーフの生理的重要性のパラメーターとして進化的保存性を利用し、リン酸化シグナルの解析を行ってきた(Yoshizaki H Gigascience 2015)。本課題ではこれらのデータを利用し、がん特異的な変異とリン酸化モチーフとの間に関連性を見出せるか調べた。International Cancer Genome Consortium (ICGC)(https://icgc.org/)に登録されている16,164,044のがん特異的変異から、アミノ酸置換のあるリン酸化モチーフ上の114,262変異をピックアップし、がん組織でのモチーフへの変異の偏りと各リン酸化モチーフの進化的保存性との間で相関を調べた。この結果、リン酸化モチーフ上のがん特異的変異導入頻度は、リン酸化モチーフの進化的保存性と正の相関を持つことを明らかにした。しかも、この相関は健常者SNPデータで確認されなかった。これはがん組織では、生理的重要性の高いリン酸化モチーフに変異が蓄積しやすいことを意味し、がん組織のリン酸化モチーフ上の変異は、ゲノム不安定性によるランダムな変異の挿入でなく自然選択的に挿入されていることを示唆した。これらの結果から、リン酸化モチーフ解析に着目した発がんシグナル伝達経路予測が可能であることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請通りのペースで研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは当初予想通りの結果が得られたので順調に進んでいるが、これからは結果が予測できない不確実性の高い実験に入るため研究計画の変更等も予想される。 リン酸化プロテオミクス解析の結果が芳しくない場合、公開されているトキシコゲノミクスデータを利用した解析に変更することも視野に入れる。
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Causes of Carryover |
参加予定学会の期間に急な校務が入ってしまったため、学会発表をキャンセルしなければいけなくなったため、本年度予算の使用額に変更が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度発表できなかった、内容について次年度に学会発表を行う。その予算を本年度未使用分で充当する。
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