2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K06856
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
福島 喜代康 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (00746620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 亨 長崎大学, 熱帯医学研究所, 客員研究員 (50444873)
永安 武 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80284686)
松本 桂太郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (80404268)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肺腺癌 / がん遺伝子 / 遺伝子変異 / メチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
家族性肺癌の報告はいくつか散見され家族性肺癌関連遺伝子変異はいくつかの候補はあるものの未だ知られていない。日本赤十字社長崎原爆諫早病院では3世代に渡って13名に肺癌の発生を認めている常染色体優性遺伝形式が強く疑われる大家系を本邦で初めて見いだした。これまで長崎大学と共同で次世代シークエンス技術を活用し、原因遺伝子の同定と正確な情報の家族への提供を目的に遺伝子解析を行っていたが、現在まで思うような成果を得ていなかった。そこで、我々は独自に家系内のがん患者、がん未発症者合わせて10名のゲノムのエクソームリシークエンシングを実施し、エクソーム変異解析と連鎖不平衡解析を組み合わせることで、当該家系における家族性肺癌関連遺伝子変異を特定することができた。 本研究において検討される遺伝子A(現時点で非公表)はその強い遺伝性と肺腺癌特異性から考えて、弧発性肺腺癌においても肺腺癌発症のkey moleculeである可能性が極めて高いと考えられた。 まず、今年度は遺伝子Aの発現と遺伝子変異について家系外の患者の臨床検体(肺腺癌)を用いて検討した。その結果、遺伝子変異は認めなかった。次に遺伝子Aのメチル化について検討した。遺伝子Aは文献報告と同様にメチル化されていることが、証明された。 我々は遺伝子ゲノム解析と家系情報で遺伝子Aを抽出したが、他の肺腺癌組織でこの遺伝子変異が見つからなかったことはこの遺伝子Aはこの家系内のみで見られる特殊な発がんメカニズムには関与しているが、真の肺癌遺伝子ではない可能性もある。 今後は今年度得られた遺伝ゲノム情報と家系情報の連鎖不平衡解析を再度検討し、肺腺癌の臨床検体の数も増やすことでさらに新しい肺腺癌のがん遺伝子とそのメカニズムを検索する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々はがん家系内のがん患者、がん未発症者合わせて10名の遺伝子ゲノムのエクソーム変異解析と連鎖不均衡解析で候補遺伝子Aを抽出した。また、この家系外の肺腺癌患者の癌組織の遺伝子Aの配列およびメチル化を解析し、メチル化されていることが確認された。肺癌家系の遺伝子エクソーム変異解析を再度検討し、さらに新しい肺腺癌のがん遺伝子を検索し来年度の解析の基礎となる情報を蓄積することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は肺癌家系の遺伝子エクソーム変異解析を再度検討して得られた情報をもとに、さらに新しい肺腺癌のがん遺伝子を検索する。その後に再度、さらに臨床検体数を増やして肺腺癌組織の遺伝子変異とメチル化を解析する予定である。
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Causes of Carryover |
遺伝子解析にかかる費用の総額が判明するまでに時間を要したため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は肺癌家系の遺伝子エクソーム変異解析と家系情報の連鎖不平衡解析を再度検討し、さらに新しい肺腺癌のがん遺伝子を検索する。その後に再度、遺伝子変異とメチル化を解析する予定である。
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