2017 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of tumor heterogeneity by deep tumor imaging and control of drug delivery system
Project/Area Number |
15K06871
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Research Institution | Kawasaki Institute of Industrial Promotion Innovation Center of NanoMedicine |
Principal Investigator |
藤 加珠子 公益財団法人川崎市産業振興財団(ナノ医療イノベーションセンター), ナノ医療イノベーションセンター, 研究員 (90342732)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ドラッグデリバリーシステム / 腫瘍深部イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍は均質ではなく不均一な細胞集団であり、治療の困難さや再発の原因となっている。本研究では様々なドラッグデリバリーシステム(DDS)や抗癌剤について、担癌モデルマウスを用いて多光子顕微鏡システムにより腫瘍深部イメージングを行い、表層部位、腫瘍深部、がん幹細胞への薬物集積性を比較検討することにより効果的なDDSキャリアを開発することを目的とした。 平成29年度では様々なDDSキャリアについて腫瘍深部及び癌幹細胞への薬物集積を評価した。特に前年度に最も腫瘍深部に到達したポリエチレングリコール(PEG)とポリアミノ酸のブロック共重合体と核酸の自己組織化で形成されるポリイオンコンプレックス(PICs)において、PEGの長さや形状、ポリアミノ酸鎖の構造の最適化を行った結果、より腫瘍深部への集積性が向上した。また、癌幹細胞をGFPで標識したヒト膵臓癌由来のBxPC3-n-p-GFP細胞の皮下腫瘍モデルマウスを用いて、核酸を蛍光標識したPICsの腫瘍集積性を調べたところ、尾静脈投与24時間後において癌幹細胞のごく近傍まで集積していたが、癌幹細胞には集積が見られなかった。 腫瘍の血管が不規則に一時的に開閉し、血中の蛍光標識DDSキャリアが噴出するNanoeruption現象は生体内共焦点顕微鏡を用いて腫瘍の表層(およそ50 umまで)では観察されている(Matsumoto et al., Nature Nanotechnology, 2016)が、今回、多光子顕微鏡で長時間観察することにより、腫瘍のより深い場所(270 um)でもNanoeruptionが起きていることが確認された。特に、間質の少ないヒト膵臓癌由来のMIA PaCa細胞の皮下腫瘍モデルマウスではNanoeruptionによってPICsの腫瘍集積性が向上することがわかった。
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