2015 Fiscal Year Research-status Report
ガン特異的TCR遺伝子を簡便・迅速に取得するシステムの構築
Project/Area Number |
15K06872
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
浜名 洋 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (90551549)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村口 篤 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (20174287)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | T細胞受容体(TCR) / 単一細胞RT-PCR / レポーターアッセイ / メラノーマ |
Outline of Annual Research Achievements |
TCR遺伝子治療はガン免疫療法の一種であり、ガン患者から取得したガン細胞特異的TCR遺伝子を用いて、人為的にガン細胞特異的T細胞を作成し、それを患者へ投与することでガン治療を行う。この治療法においては、いかにして個々の患者から迅速にガン特異的TCR遺伝子を取得するかが重要な課題の1つである。そこで、本研究では「ガン特異的TCR遺伝子を簡便・迅速に取得するシステムの構築」を目的としている。 27年度は、(1)TCRの遺伝子増幅法の改良、(2)培養細胞を用いたTCR機能評価系の作製、(3)マウスメラノーマ特異的TCR遺伝子の取得。上記の3課題に取り組んだ。 (1)単一T細胞から完全なTCRのcDNAを効率よく増幅するために、IMGT(http://www.imgt.org)より、ヒトおよびマウスのTCRの翻訳開始コドンを含むリーダー配列の遺伝子配列を取得して、TCRαおよびβの完全なcDNAの増幅が可能なプライマーのセットを作製した。これらのプライマーセットを用いて、ヒトおよびマウスの単一T細胞から、80%以上の効率でTCRαとβをペアで増幅が可能であることを確認した。 (2) TCRの機能をルシフェラーゼ・レポーターアッセイで評価するために、TCRの機能的な発現に必要なCD3複合体、CD8、またTCRの活性化シグナル伝達に必要な分子SYK、NFAT-C2、およびNFAT応答配列-ルシフェラーゼ遺伝子をHEK293T細胞へ遺伝子導入し、それらの安定発現細胞株293T-Lucを作成した。この293T-Luc細胞へ、EBウイルス由来のBRLF1ペプチド抗原に特異的なヒトのTCRを遺伝子導入し、TCRの抗原特異性を評価できることを確認した。また、メラノーマ抗原であるTRP2ペプチド抗原に特異的なマウスのTCRでも、293T-Lucを用いてTCRの抗原特異性が可能であることを確認した。 (3) 5匹のC57BL/6の側腹にB16F10メラノーマ細胞を移植して形成させた腫瘍より、腫瘍浸潤T細胞を取得し、 (1)で確立した方法を用いて個々の単一T細胞からTCR遺伝子を増幅した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の3つの課題のうち、(1)TCRの遺伝子増幅法の改良、(2)培養細胞を用いた機能評価系の作製、上記の2課題に関しては計画通りに研究が進み、想定していた成果が、ほぼ100%得られている。 課題(3)マウスメラノーマ特異的TCR遺伝子の取得に関しては、腫瘍浸潤T細胞からのTCR遺伝子の取得までは完了し、現在クローニングしたTCR遺伝子を課題(2)で作製した細胞へ遺伝子導入し、B16F10メラノーマ細胞に対する特異性の解析を進めているところである。課題(3)に関しては、想定した目標の60%程度まで到達している。 以上より、概ね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
ほぼ当初の研究計画の通り研究を推進する。次年度は、引き続き293T-Luc細胞を用いてB16F10移植マウスからクローングしたTCRのB16F10細胞に対する特異性の解析を進める。もし、293T-Luc細胞での抗原特異性の解析が困難な場合には、その他のT細胞株、あるいはマウスの脾臓から調整したT細胞を用いることで、クローニングしたTCRの抗原特異性の解析を行うことを検討する。 その後、(1)in vitroにおけるB16F10特異的TCRの細胞傷害活性能の評価、(2)in vivoにおけるB16F10特異的TCRの細胞傷害活性能の評価を行っていく。
|
Causes of Carryover |
(1)TCRの遺伝子増幅法の改良。(2)培養細胞を用いた機能評価系構築。 上記の課題が順調に進んだ為、それらの実験に購入予定であった試薬等の費用の繰越が生じた。 また、課題(3)マウスメラノーマ特異的TCR遺伝子の取得において、293T-Lucを用いた抗原特異性の評価が未完了で継続中であり、それらの実験に必要な試薬類の費用も繰越となっている。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も、引き続き遺伝子導入試薬等、研究に必要な試薬の購入が必要となるので、それらの購入を予定している。
|
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] Identification of broadly conserved cross-species protective Leishmania antigen and its responding CD4 + T cells2015
Author(s)
Z. Mou, J. Li, T. Boussoffara, H. Kishi, H. Hamana, P. Ezzati, C. Hu, W. Yi, D. Liu, F. Khadem, I. Okwor, P. Jia, K. Shitaoka, S. Wang, M. Ndao, C. Petersen, J. Chen, S. Rafati, H. Louzir, A. Muraguchi, J. a Wilkins, and J. E. Uzonna,
-
Journal Title
Science Translational Medicine
Volume: 7
Pages: 1-13
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-