2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K06879
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
木村 徹 杏林大学, 医学部, 助教 (30433725)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | トランスポーター / 癌 / アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
必須アミノ酸であるロイシンやアルギニンは、mTOR経路活性化、すなわち細胞増殖に重要である。また、アルギニンはNO合成の基質であり、そのNOは良性腫瘍から悪性腫瘍への進展に関与することが示されている。本研究計画では、それら重要なアミノ酸を取り込むトランスポーターに焦点を当て、癌の増殖、進展における機能的役割の検討を行うことを目的とする。アミノ酸トランスポーターとして、すでに抗癌薬の標的として着目されているLAT1に加え、ロイシン/アルギニンを輸送するy+LAT 1, 2に着目した。癌培養細胞として、胎盤絨毛癌細胞のBewo, JEG-3細胞、口腔・歯肉癌細胞のHEp-2, Ca9-22,HSC-3細胞、膀胱癌細胞のT24細胞、前立腺癌細胞のPC-3, DU145細胞、乳癌細胞のMCF7, T47D細胞などを用いた。各種癌細胞の増殖におけるロイシン/アルギニンの影響を検討するため、ロイシンやアルギニンの濃度を低下させて細胞増殖を観察した。その結果、それらアミノ酸の濃度を低下させると、細胞増殖が抑制された。LAT1特異的阻害剤JPH203を用いて、細胞増殖抑制効果を検討した結果、各腫瘍細胞でその感受性が異なっており、T47DやDU145で感受性が高かった。ウエスタンブロットによりLAT1, y+LAT 1, 2のタンパク発現量を比較した。y+LAT2は比較的どの癌培養細胞にも発現が見られたが、LAT1はHEp-2, Ca9-22, JEG-3細胞で発現量が高く、y+LAT1はJEG-3でのみ高い発現が見られた。今後、これらトランスポーターの重要性を検討するとともに、癌組織切片を用いてそれらトランスポーターの発現を観察していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
27年度内には、癌培養細胞におけるy+LAT, CAT familyの発現とモデル細胞の選定と In vitro assay系によるy+LAT, CAT familyの機能的役割の解明を行う予定であった。y+LATファミリーのタンパク質発現解析は行ったが、CATファミリーに関してはmRNAの発現しか行っていない。しかしながら、ターゲットとしたアミノ酸トランスポーター以外のものの重要性も考えられたため、DNAマイクロアレイや質量分析計(MS)を用いた、網羅的なトランスポーター発現解析も進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
y+LAT, CAT familyの安定過剰発現細胞および安定ノックダウン細胞を作製し、以下の検討に用いる予定である。mTORの活性化(リン酸化抗体によるウエスタンブロット)、細胞増殖、細胞遊走能(スクラッチアッセイ法)、浸潤能(ボイデンチャンバー法)を評価する。これらの解析により、癌細胞としての機能維持に重要なトランスポーターを同定する。その際、アミノ酸取り込み効果によるものか、NOによる効果なのか検討するため、NO合成酵素阻害薬のL-NAMEの効果もあわせて観察する。重要性が考えられたトランスポーターを中心に、癌組織での発現を免疫染色法を用いて観察する。癌部と非癌部だけでなく、癌浸潤部と癌基部の比較検討も行う。合わせて、癌のステージにおける発現パターンの変化も観察する。
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Causes of Carryover |
研究資料収集のために出張に行く予定にしていたが、特に必要ないと考え、中止にした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究に主にかかわる消耗品費に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)