2015 Fiscal Year Research-status Report
PARP阻害剤の 新しい合成致死性標的の確立:BRCA・相同末端修復の枠を超えて
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15K06890
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
藤森 浩彰 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (00590043)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | PARP阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNMT familyはDNMT1, 2, 3からなり、DNMT1は細胞分裂時の親鎖のCpGメチル化状態の娘鎖へのコピーを担い、DNMT3 family memberは 親鎖情報に依存しない新規CpGメチル化を担う。PARP阻害によりどのfamily memberの発現が低下するか A549細胞細胞株をOlaparib, Rucaparibで処理することで検討すると、全てではなく特定複数のfamily memberの発現低下が認められた。また、これらのfamily memberを同時にノックダウンすることにより A549の増殖低下が誘導されることも明らかになった。 次に、様々な程度でDNMT familyを発現するがん細胞株約15種類を用いて、in vitroでOlaparib, Rucaparibに対する感受性試験を行った。その結果、過去の報告通り BRCA, PTEN変異等 相同末端修復経路(HR)に異常を持つがん細胞株は低いIC50を示したものの、それ以外の細胞株でも低いIC50を示すものが同定された。次に使用した細胞株15種類からtotal RNAを回収してDNMT family memberの発現量を相対的に定量すると、HR proficientな細胞株でPARP阻害剤の感受性が高いものは 上記の特定のDNMT family memberの発現が高いことが 統計的に明らかになった。 PARP阻害剤は放射線増感剤としても知られているが、PARP阻害による増感効果がDNMT familyの抑制をも介している可能性を考え、PARP阻害によって発現が低下するDNMT family memberの一つをノックダウンして放射線感受性を調べたところ、放射線増感が誘導されることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画における平成27年度の目標は、PARP阻害剤が抑制するDNMT family memberの決定・抑制メカニズムの解明であった。平成27年度における我々の研究進行状況は、二種類のclinical studyレベルのPARP阻害剤を使用し、PARP阻害により抑制されるDNMT family memberを特定した。また本来は平成28-29年度の目標である、統計的に特定のDNMT family memberの発現が高いと PARP阻害剤への感受性が高いことをも示した。加えて、PARP阻害下で発現低下するDNMT familyが細胞の放射線抵抗性にも関与していることも示した。 本来、平成27年度中に明らかにすべきであった PARP阻害剤が抑制するDNMT family memberの決定・抑制メカニズムの解明は未達成であったものの、総合的には予定以上の達成度であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、研究遂行を妨げる問題は存在しないため、引き続き研究計画に従って PARP阻害剤の適用拡大のための研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
交付額が請求額に満たず、申請時に予定していた備品購入を一時保留したため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究申請時、研究が予定通りに進行しない状況を考え、様々な追加実験用の資金の必要性を考えていたが、引き続き 研究進行状況を鑑み、予定していた備品購入が研究費収支上可能であるか検討する。
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Research Products
(1 results)