2015 Fiscal Year Research-status Report
in vitro enChIP法の技術基盤の確立およびゲノム機能解析への応用
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15K06895
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 敏次 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (10550030)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ChIP / enChIP / in vitro enChIP / locus-specific ChIP / CRISPR / TAL |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、これまでに、生体内でのクロマチン構造を保存したまま解析対象とするゲノム領域を単離する方法の一つとして、enChIP法(engineered DNA-binding molecule-mediated chromatin immunoprecipitation)を開発してきた。enChIP法は、ゲノム編集技術で利用されているTALENテクノロジー(TAL蛋白質)やCRISPR系などの人工DNA結合分子のDNA認識領域を利用し、解析対象とするゲノム領域を細胞内でタグ付けした後、当該ゲノム領域を遺伝子座特異的に単離する方法論である。本申請課題では、人工DNA結合分子の細胞内発現を必要としない、in vitro enChIP法の技術基盤を確立する。具体的には、機能分子として精製した人工DNA結合分子と、細胞から抽出・断片化したゲノム複合体を、試験管内で混合後、アフィニティー精製することで、解析対象ゲノム領域を単離する技術を確立する。 本年度は、精製したCRISPR複合体(不活性型Cas9蛋白質およびgRNA)を利用したin vitro enChIP法の技術基盤の確立を試みた。まず、不活性型Cas9蛋白質を組換蛋白質としてカイコ発現系で準備し、化学合成したgRNA(IRF-1遺伝子プロモーター領域内の塩基配列に相補的)と機能性複合体を形成させた。次にヒト細胞株から断片化ゲノムを用意し、上記複合体と試験管内で混合させた後、アフィニティー精製することで、CRISPR複合体が結合したIRF-1遺伝子プロモーター領域を単離した。単離効率を評価した結果、Input の1%の効率で標的ゲノム領域が単離できることが判明した。さらに、バッファー組成の最適化を図ることで、非特異的ゲノム領域の混入を減少させることに成功した。現在、標的ゲノム領域に結合する蛋白質・RNAの網羅的同定を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請記載の研究計画に沿って、CRISPR系を利用したin vitro enChIP法を確立することができた。現在、標的ゲノム領域に結合する蛋白質・RNAの網羅的同定を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
次に、TAL-DNA認識ドメインを利用したin vitro enChIP法の技術基盤を確立する。CRISPR系を利用したin vitro enChIP法の開発経験を基に、技術基盤の確立を進める。これまでの予備実験から、カイコ発現系で準備したTAL蛋白質の精製組換蛋白質は分解が多いことがわかっている。何種類かのTAL-DNA認識ドメインを組換蛋白質として用意することで、TAL-DNA認識ドメイン構造の違いによる蛋白質分解への影響を評価するとともに、標的ゲノム領域の単離効率について検討していく。必要であれば、蛋白質発現系の検討も行う。
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Causes of Carryover |
現在、確立したin vitro enChIP 法で標的ゲノム領域に結合する蛋白質・RNAの網羅的同定を進めており、そのための予算。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
確立したin vitro enChIP 法で標的ゲノム領域に結合する蛋白質・RNAの網羅的同定を進めるとともに、TAL-DNA認識ドメインを利用したin vitro enChIP法の技術基盤を確立する。
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Research Products
(8 results)