2016 Fiscal Year Research-status Report
モデル生物ゼニゴケにおけるマイクロインジェクションを用いたゲノム編集技術の開発
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15K06902
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
大和 勝幸 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (50293915)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マイクロインジェクション / ゲノム編集 / ゼニゴケ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ゼニゴケをモデルとする遺伝子機能解析を促進するため,CRISPR/Cas9のマイクロインジェクションによるゲノム編集法の開発を目指す。 穿刺する細胞の選択および操作については,初年度に基本的な知見が得られている。しかし,穿刺後の細胞は数日間しか生存することができず,この問題は解決できていない。マイクロインジェクションによりFITC-Dextranが細胞内に注入されたことを確認した後,液胞や細胞そのものに明らかな損傷が見られないにも関わらず,穿刺された細胞は本来分裂を開始するべき条件下でも分裂せずに死滅した。葉緑体の自家蛍光を指標とすると,穿刺の翌日以降に次第に弱まり,消失することが観察された。自家蛍光が消失した葉緑体は,顕微鏡下では褐色を呈していた。この変化は,穿刺後の培養において光照射を制限することでその進行を抑制することは可能であるが,現状では阻止するには至っていない。 実験上の新たな問題として,胞子の品質のばらつきが大きいことが挙げられる。これまでは,採取した胞子を滅菌後直ちに超低温保存処理していたが,この方法で保存した細胞の生存率および成長速度に試料間の差が見られ,数回の実験毎に条件を見直す必要があった。そこで,実験に用いる胞子の発芽率および成長速度のばらつきを実験間で最小限に抑制するための超低温保存法を開発した。超低温保存処理前に適切な処理(培養環境の調整)を行うことで生存率が向上し,一定の試料から多数の試料を確保することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に設定した細胞および操作の条件により,マイクロインジェクションによるFITC-Dextranの細胞内への注入はコンスタントに可能となっている。しかし,マイクロインジェクション後,液胞や細胞そのものに明らかな損傷が見られないにも関わらず,穿刺された細胞は本来分裂を開始するべき条件下でも分裂していない。そのため,CRISPR/Cas9の注入作業が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
穿刺後に細胞が死滅するという問題は,インジェクションを可視化するために用いているFITC-Dextranが原因である可能性が否定できないので,別の蛍光色素あるいはmRNAの注入による蛍光タンパク質の発現にて評価を行う。また,細胞の生死判定色素を用いて穿刺後の変化をより詳細にモニターする。
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Causes of Carryover |
ゲノム編集株の作成が遅れており,年度内でのゲノム解析に至らなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ゲノム編集株を作成し,そのゲノム解析に用いる。
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Research Products
(2 results)