2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K06935
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Research Institution | Uekusa Gakuen University |
Principal Investigator |
早川 雅晴 植草学園大学, 発達教育学部, 准教授 (60710928)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | コアジサシ / GPS / 渡り / 沖縄 / 台湾 / 中国 / 移動経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
ジオロケーター(時間と光の明暗の記録から緯度経度を推定する装置)を使った調査により、東日本で繁殖するコアジサシは東南アジアからオーストラリア南東部の地域で越冬しており、台湾で繁殖するコアジサシはオーストラリア北西部で越冬していることが明らかになっている。そこで、台湾に近い沖縄で繁殖しているコアジサシはどちらで越冬しているのかを、近年開発された小型GPSを使ってより詳細な場所とルートの特定を試みる。オーストラリア北西部に移動しているようであれば、東日本で繁殖するコアジサシとは異なる個体群の可能性があり、保護対策にも影響を及ぼす可能性があるからである。 平成28年と29年に内閣府の許可を得て沖縄県沖縄市泡瀬の人工島に立ち入り、そこで営巣しているコアジサシを罠(ボーネット)で16羽捕獲した。体重・翼長等の測定、血液の採取、足環の装着後、GPSを取り付けた。GPSの重さは1gであり、体重が概ね50gのコアジサシの2%にあたる。これは日本鳥学会が示している鳥に負担をかけるとされる体重の4%以内である。GPSにはアンテナがついていてコアジサシの短い脚に装着できないため、腰にハーネスで取り付けた。この技術の確立と修得のため、剥製や体サイズの似ているヒヨドリを使って練習を行った。残念ながら、平成28年に装着したGPSを平成29年に回収することはできなかった。 同様の調査は、平成29年に台湾の宜蘭と中国の海豊でも実施した。海外では日本人は鳥を直接捕獲することができないため、台湾では共同研究している台湾大学の袁教授のスタッフが実施した。また、中国では中山大学のLiu准教授のスタッフ他との共同調査で実施した。実施に先立ち、それぞれのスタッフには、ボーネットの扱い方とGPSの装着方法の研修を行ってもらい、それぞれ10羽のコアジサシにGPAを装着した。今年は各地域でなるべく多くのGPSの回収を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の対象種であるコアジサシの繁殖シーズンは5月から7月である。しかし本助成が追加採択であったため、平成27年の繁殖シーズンに間に合うようにGPSを購入することができず、全体的に当初の計画より1年遅れている。 また、台湾での共同調査については、現地大学との調査方法に関わる細部の合意に時間がかかり、さらに1年計画より遅れている。 中国との共同調査については、研究者レベルでは合意ができていたものの、GPS装置がイギリス製であったために中国当局より持ち込みの許可が下りず、予定より1年遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
沖縄では、昨年度同様に営巣時期にボーネットでGPS装着個体の捕獲を試みる。さらにより多くのGPS装着個体の回収の可能性を高めるために、繁殖後期に営巣地近くでカスミ網による捕獲も試みる計画である。 台湾・中国でのGPSの回収については、現地研究者・スタッフにボーネットを貸与しコアジサシの捕獲を依頼している。回収したGPSは日本に送ってもらい、日本でデータを解析する。
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Causes of Carryover |
すでにGPSを追加発注しているが、まだ納品されておらず、支払いを済ますことができなかったため。
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Research Products
(6 results)