2016 Fiscal Year Research-status Report
昆虫資源から見た伊豆・薩南諸島の進化・遺伝的重要性の検証と保全のための基盤研究
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15K06937
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| Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
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Principal Investigator |
小島 弘昭 東京農業大学, 農学部, 教授 (80332849)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳田 誠 佐賀大学, 農学部, 准教授 (60469848)
細谷 忠嗣 九州大学, 持続可能な社会のための決断科学センター, 准教授 (90467944)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 昆虫 / 分類学 / 生物多様性 / 保全生物学 / 島嶼生物学 / 系統生物地理 / 分子系統解析 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
昨年に引き続き調査研究が遅れている薩南諸島を中心に主要昆虫相解明（種レベルのインベントリー）を実施した．対象昆虫群は大幅な種数の増加が見込まれるゾウムシ類やコガネムシ類，カメムシ類，ゴール形成昆虫で，とくに調査研究が遅れていると考えられるトカラ列島ならびに三島村黒島に焦点をあて調査を実施した．
ゾウムシ類についてはトカラ列島から奄美諸島にかけて分布し，クワ科植物を加害する１新種を発見・記載した．また，トカラ列島を分布限界（南限あるいは北限）とする種を含む27種の列島新記録種をまとめて報告した．これまでの調査により少なくとも150種を越すゾウムシ類がトカラ列島に生息することになる．さらに，三島村のなかでももっとも自然度が高い黒島を夏期および秋期に調査した．その結果，未記載種ならびに分布限界記録種を含む，70種を超すゾウムシ類を確認するとともに，コガネムシ類，カメムシ類の新記録種を多数発見し，薩南諸島におけるこの島の重要性が明らかになりつつあり，学会発表により紹介した．
研究分担者の細谷は，夏期調査として７月下旬にトカラ列島の中之島と諏訪之瀬島でコガネムシ上科甲虫を中心とした昆虫類の調査を実施した．また，これまでにトカラ列島を中心とした薩南諸島における調査成果，およびフェリーによって人為的移動をしている甲虫類の調査成果の取りまとめを行い，原著論文を複数出版した。
研究分担者の徳田は，トカラ列島の悪石島・小宝島・宝島および伊豆諸島の大島・八丈島において虫えい形成昆虫相の調査を実施した．このうち，小宝島と宝島の虫えい形成昆虫相に関しては原著論文として取りまとめて発表した．また，種子島においてハイノキ科のアオバノキに虫えいを形成するタマバエの未記載種を確認し，その新種記載論文を作成して投稿中である．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査対象地域の島嶼を必要最低限に絞って集約的調査を実施した．
現地調査の実施，および標本類の整理，その後の論文化も順調に進展している．現時点で遅れている点は，採集標本を用いたDNA解析が十分に進められていないことである．
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| Strategy for Future Research Activity |
ゾウムシ類に関しては，伊豆諸島についてはこれまでの調査でほぼ対象昆虫群のファウナは一通り調査し終えたので，まだ調査が不足している薩南諸島のうち，保全上重要と考えられる以下の島を中心に最終年度の追加調査を行う：トカラ列島（口之島，中之島，悪石島，宝島）と三島村（黒島）．また，DNA解析用に蓄積してきているサンプルの解析を進め，この地域内の遺伝的分化の状況等を明らかにして行くとともに，この地域の生物相の起源についても考察する．
コガネムシ類については，夏期を中心にトカラ列島調査など実施する予定である．今年度は調査成果の取りまとめ作業を中心に進め，コガネムシ上科甲虫などの分布記録等を論文にまとめて順次投稿していく．また，薩南諸島に広く分布するコガネムシ上科甲虫を用いたDNA解析を行い，各島嶼における遺伝的な分化の状況等を明らかにしていく．
虫えい形成昆虫に関しては，トカラ列島のうち，未調査の島々において調査を実施し，論文として取りまとめる予定である．また，伊豆諸島の虫えい形成昆虫に関する論文も最終年度中に取りまとめる予定である．
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| Causes of Carryover |
適正な執行に努め，研究費を計画通りに使い切ったが，後になって（翌年度に実施した内部監査で），旅費の申請額に一部誤りがあった事が発覚し，それが余剰金として発生してしまったため．
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究期間終了年までに旅費として使用予定．
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[Presentation] 薩摩黒島が面白い！2016
Author(s)
嶋本習介・金子直樹・小島弘昭・石川忠
Organizer
日本昆虫学会関東支部第53回大会
Place of Presentation
玉川大学（東京都・町田市）
Year and Date
2016-12-04 – 2016-12-04
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