2016 Fiscal Year Research-status Report
オートファジーによるRNA分解の分子機構とその普遍性の解明
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15K06949
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
堀江 朋子 (川俣朋子) 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (70435527)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オートファジー / 核酸 / RNA / 分解 / RNase / RNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファジーは細胞内の主要な分解システムであり、酵母からヒトまで広く保存された機構である。オートファジーは、従来ユビキチン・プロテアソーム系と対比されることが多く、タンパク質分解機構として認知されている。しかし、オートファジーにより、タンパク質だけではなく核酸、脂質、糖、多糖なども分解されるが、それらの物質の分解機構と、分解された物質が細胞内の代謝に及ぼす影響はこれまであまり解析されてこなかった。オートファジーは基本的には非選択的な機構であるが、様々な生物種で選択的なオートファジーの例が数多く報告されはじめている。
私は近年、酵母においてオートファジーによるRNA分解機構について、その責任酵素を同定することに成功しており、オートファジーによる核酸分解機構の分子メカニズムおよび生理機能を解析することが可能となっている。本研究の目的は、オートファジーにより分解されるRNAに基質特異性があるかどうかを調べるものである。オートファジーによる核酸代謝で最も重要な液胞内RNaseはRny1であり、その破壊株では液胞内にオートファジーに依存してRNAを蓄積する。昨年度は、Rny1の生化学的と液胞の単離条件を模索し、RNA抽出に最適な培養条件、また生化学的な単離の条件を最適化した。本年度は、昨年度の解析に基づき、オートファジーの誘導前と誘導後における細胞の液胞からRNAを抽出しRNAseq解析を開始した。現在までに、その結果の解析が一部終わっており、オートファジーにより、より特異的分解をRNAが見出されつつあるため、引き続きその再現性を調べている途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の進捗状況は、計画していたものより遅れていたが、本年度は概ね順調に進展している。前半は、RNAseqに適したRNAの品質をもつRNAの取得について少し試行錯誤が必要であった。後半は、RNAseqのデータ解析を行った。RNAseqの膨大なデータ処理・統計処理については、共同研究を行っているRNAseqの経験者に教えていただいたり、過去のRNAseqの知見を参考にすることにより、比較的スムーズに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
RNAseqの結果を精査し、再現性があるものに関して分類する。オートファジーに依存して分解されるRNAについて、その特異性を生じる分子基盤を生化学的に解明する。また、特異的な分解を阻害、または促進した場合、細胞内に与える影響を調べ、オートファジーによるRNA分解にそれぞれどのような生理的意義があるかを調べる。
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