2015 Fiscal Year Research-status Report
組換えコンデンシン複合体を用いたM期染色体構築の分子解剖
Project/Area Number |
15K06959
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
木下 和久 国立研究開発法人理化学研究所, 平野染色体ダイナミクス研究室, 専任研究員 (60447886)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 染色体 |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物細胞の分裂期におこる染色体構築の過程において中心的役割を果たしているのが、コンデンシンとよばれる巨大なタンパク質複合体である。本研究の目的は、組換えサブユニットから再構成したコンデンシンを用いて、その分子メカニズムを理解することにある。カエル卵抽出液と組み合わせることにより、野生型複合体と変異型複合体(点変異及びサブユニット欠失変異)を比較解析し、コンデンシンの各サブユニットの役割を明らかにすることを目指している。研究代表者は予備実験の解析からコンデンシンの二つのHEATサブユニットの拮抗的作用が染色体のダイナミックな軸構造の形成に必須であることを見出した。当該年度(平成27年度)は、さらに二つのHEATサブユニットと直接相互作用しているkleisinサブユニットCAP-Hの機能に注目して解析を進めた。CAP-Hの保存されたドメイン構造のうち特に真核生物間で高度に保存されている領域を複数特定し、それぞれの領域に点変異を導入した変異形複合体を再構成した。これらの変異型複合体を用いて、内在性コンデンシンを免疫除去したカエル卵抽出液中に加えて染色体を形成させる機能的アッセイをおこなった結果、CAP-H変異型複合体はそれぞれ異なる表現型を示すことがわかった。これらの表現型の詳細を比較解析することによって、コンデンシンIの機能におけるCAP-Hの貢献が明らかになりつつある。またCAP-HとHEATサブユニットとの相互作用に重要なドメインも同定し、kleisinとHEATサブユニット間の機能的連関を明らかにすることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の当初の予定では、主にコンデンシンIの機能におけるSMC ATPaseとHEATサブユニットの役割を明らかにすることを当該年度に計画していたが、これらについては順調に解析が進み論文として発表することが出来た。そのためSMC ATPaseとHEATサブユニットに加え、さらに踏み込んでもう一つのサブユニットKleisinの役割について注目し研究を推進することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
コンデンシンIの機能におけるkleisinサブユニットの役割について興味深い知見が得られつつあるため、kleisinとHEATサブユニットの両者の機能的連関に注目してさらに研究を推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
前年度(平成26年度)まで補助を受けていた基盤研究(C)の未使用額の当該年度への持ち越しが認められ、本研究計画で予定していたタンパク質の発現および精製にかかる分子生物学実験用の試薬、実験器具および消耗品の購入が予想よりも少なく済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在までの研究の遂行時と同様に、研究費の大半はタンパク質の発現および精製にかかる分子生物学実験用の試薬、実験器具および消耗品の購入に使用する予定である。また研究を推進する上で必要な研究の情報収集と討論、および研究成果の発表のための旅費を含めた費用としても、研究費を使用する。
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Research Products
(7 results)