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2015 Fiscal Year Research-status Report

核磁気共鳴法を利用した高分子量蛋白質の定量的な動態解析法の開発

Research Project

Project/Area Number 15K06966
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

宮ノ入 洋平  名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任助教 (80547521)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
KeywordsNMR / 蛋白質 / 安定同位体標識 / 動態
Outline of Annual Research Achievements

蛋白質をはじめとする生体高分子の高次機能を解明するためには、その立体構造だけではなく、さまざまな時間領域で揺らぐ動態を理解することが必要となる。しかしながら、従来の溶液NMR法では、分子量40kDaを超える高分子量蛋白質および蛋白質複合体については、動的な立体構造情報を解析することは困難を極めている。本課題では、核緩和機構を最適化した立体整列安定同位体標識(Stereo-array isotope labeling; SAIL)法と高圧NMR法を駆使した、高分子量蛋白質の構造動態を解析する新規手法を開発する。
平成27年度は、高分子量蛋白質の動態解析に向けて、メチル基を有するアミノ酸並びに芳香族アミノ酸について、新たに核緩和最適化SAILアミノ酸の設計・開発を行った。新規に開発したこれら緩和最適化SAILアミノ酸を大腸菌蛋白質生合成系を利用して、分子量82kDaのリンゴ酸合成酵素(MSG)および分子量900kDaのシャペロニン蛋白質複合体(GroELES複合体)に導入した。その結果、メチル基、メチレン基および芳香環CHについて、立体特異性を保持したまま、非常に高感度かつ先鋭的なNMRシグナルを観測することに成功した。また、核緩和最適化SAIL標識試料を用いたNOE解析を進め、静水圧下におけるメチル基や、メチレン基、芳香環CHシグナルの帰属や各アミノ酸残基の側鎖二面角情報を得ることに成功した。核緩和最適化SAIL標識したMSGについては、高圧NMR測定の条件検討を行い、静水圧から1500 mbarにおけるシグナル変化を解析することにも成功した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成27年度においては、Ile, Leu, Val, MetおよびPhe, Trp, Tyrといったアミノ酸残基に対して核緩和最適化SAILアミノ酸を設計し、実際にMSGやGroELESといった高分子量蛋白質でも、高感度にシグナルを観測、帰属することに成功した。また試料調製において、アミノ酸要求性大腸菌を利用して効率よく核緩和最適化SAILアミノ酸を目的蛋白質に標識する手法も確立することができた。
NMR測定に関して、NOESY解析と高圧NMR測定を進めることができ、計画通りに進んでいる。

Strategy for Future Research Activity

平成28年度以降は、MSG単体およびMSG-リガンド複合体、GroELES複合体について静水圧下でのNMRシグナル帰属を進め、リガンド結合ならびに圧力変化に伴うNMRシグナルの変化を解析する。リガンドの添加や圧力変化に伴い過渡的複合体が形成され、各NMRシグナルには異なる構造間を揺らぐ交換運動に伴う変化が表れることが予想される。そこで、EXSY実験を行い、交換速度を定量的に解明する。さらに交換運動の圧力依存性を解析することで、各アミノ酸の活性化体積についても定量解析を進める。化学シフトの縮重等の問題でEXSY実験が困難な場合には、高圧極低温実験や常磁性金属を利用した擬コンタクトシフトを利用して、交換速度解析を進める。
上記の交換速度ならびに活性化体積変化の解析から、蛋白質動態に関与するアミノ酸を特定し、変異体解析により生体機能と蛋白質動態との相関関係を明らかにしていく。

Causes of Carryover

試料調製法において、高効率なアミノ酸標識法を新たに確立することができ、当初の予定より、安定同位体標識アミノ酸の使用量を抑えることができた。また重水等の安定同位体試薬の再利用技術が改良されたため、購入費用が抑えられた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

当該助成金に関しては、新たな核緩和最適化アミノ酸の設計・開発および、より多様なアミノ酸標識試料の調製に利用し、様々なアミノ酸残基を観測対象とした動態解析を展開する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2016 2015

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] 立体選択的13CH3標識Leu, Valの高分子量蛋白質のNMR研究への応用2016

    • Author(s)
      宮ノ入洋平、武田光広、寺内勉、甲斐荘正恒
    • Journal Title

      分光研究

      Volume: 65 Pages: 46-49

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 高度な安定同位体標識技術を利用した新しい溶液NMR法の開発2016

    • Author(s)
      宮ノ入洋平、武田光広、楊淳竣、寺内勉、甲斐荘正恒
    • Organizer
      日本生物物理学会中部支部講演会
    • Place of Presentation
      岡崎コンファレンスセンター
    • Year and Date
      2016-02-29 – 2016-02-29
  • [Presentation] 核緩和最適化SAILアミノ酸を利用した高分子量蛋白質複合体の溶液立体構造解析法の開発2015

    • Author(s)
      宮ノ入洋平、武田光広、寺内勉、甲斐荘正恒
    • Organizer
      第54回NMR討論会
    • Place of Presentation
      千葉工業大学
    • Year and Date
      2015-11-06 – 2015-11-08

URL: 

Published: 2017-01-06  

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