2017 Fiscal Year Research-status Report
がん発症に関わるスプライシング因子SF3b1の構造生物学的研究
Project/Area Number |
15K06982
|
Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
桑迫 香奈子 武蔵野大学, 薬学研究所, 講師 (10568736)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 泰一 千葉工業大学, 先進工学部, 教授 (40383369)
吉村 明 東北医科薬科大学, 薬学部, 講師 (70302164)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | mRNAスプライシング / NMR |
Outline of Annual Research Achievements |
さまざまながん細胞において,スプライシング因子SF3b1の特定のリジン残基に集中的に変異が生じていることが報告されてきている。しかし,これらのリジン残基が実際どのようにスプライシングに影響し,がん化と関わっているのかは未知である。本研究は,構造生物学的手法によってSF3b1のリジン残基の役割とその変異がスプライシングに与える影響を明らかにすることを目的としている。 大腸菌を宿主とした遺伝子組み換えによるSF3b1タンパク質の調製が予定通りに進まなかったため,本年度は,無細胞タンパク質合成系の利用を試みた。がん細胞で集中的に変異が生じているリジン残基を含み,かつ,SF3b1の機能発現に重要と考えられる領域からいくつかのコンストラクトを試したが,発現量が低く,かつ,不溶化してしまった。そこで,SF3b1の発現は,大腸菌を宿主とした遺伝子組み換えのほうが良いと判断し,タグや宿主大腸菌の種類,Buffer組成等の再検討を進めている。 SF3b1はブランチ部位に結合するU2 snRNPの構成因子である。紫外線架橋法によって,SF3b1はブランチ部位の両側(配列が保存されていない領域)に結合し,ブランチ部位には別のサブユニットが結合すると報告されて15年以上経ったが,未だブランチ部位の認識・結合メカニズムは明らかになっていない。そこで,SELEX法を用いて,ブランチ部位に結合するサブユニットの特異性を明らかにしようと試みている。現在,得られたRNA配列について,定量的な相互作用解析を進めており,今後はNMR法を用いて結合様式を特定する予定である。また,SF3b1の調製が可能になり次第,SF3b1についても同様の方法で特異性の有無を明らかにする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SF3b1タンパク質の調製が難しく,予定通りに進んでいない。無細胞タンパク質合成系を試みたが,発現量が低く,かつ,不溶化してしまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
SF3b1の発現は,不溶化してしまうものの,ある程度の量は発現させられる大腸菌を宿主とした遺伝子組み換えのほうが良いと判断し,タグや宿主大腸菌の種類,Buffer組成等の再検討を進めている。
|
Causes of Carryover |
SF3b1タンパク質の機能解析をする予定であったが,その前段階であるSF3b1の調製ができていない。機能解析に必要となる消耗品は次年度に使用したいと考えている。
|