2015 Fiscal Year Research-status Report
糖鎖アトラス作成のための網羅的な糖鎖解析技術の開発とデータの収集および公開
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15K06991
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
長束 俊治 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00243163)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 糖鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
【遊離糖鎖の解析法の開発】細胞内遊離糖鎖の精細な解析には、貯蔵多糖由来と思われる大量のグルコースオリゴ糖を選択的に除去しなければならない。そこで分析試料から水抽出により遊離オリゴ糖を回収した後、酵素処理によりグルコースオリゴ糖を選択的に単糖にまで分解し除去する方法を試みたところ、グルコアミラーゼとα-アミラーゼを共に作用させた時に効率よくグルコースオリゴ糖を除去できることが分かった。これにより細胞内遊離糖鎖の効率的かつ高感度な分析が可能となった。 【ムチン型糖鎖の効率的な解析法の開発】糖タンパク質糖鎖の中でもムチン型糖鎖は特に不安定であり、現在用いている条件下では20~50%が、主にピーリング反応により分解してしまう。しかも本研究の標的である組織サンプルを用いた時には、精製された糖タンパク質よりも、この分解はさらに顕著になる。これに対して最近、カルシウムなどの二価カチオンの存在により分解が促進されていることが示唆され、EDTAや酸による前処理により収率が改善されることが報告された。そこで本研究では、組織サンプルに対してEDTAや種々の酸による前処理をした後に、ヒドラジン分解と蛍光標識法を用いてムチン型糖鎖の分析を行ったところ、EDTA処理がピーリング反応による分解をもっとも抑え、良い収率をもたらすことが分かった。これによりムチン型糖鎖の効率的かつ高感度な分析が可能となった。 【糖脂質糖鎖の解析法の開発】微量な組織サンプルからの糖脂質の抽出法について検討を行い、溶媒抽出法により効率よくかつ十分な純度で調製することができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目論見通りの実験結果が得られたので、当該年度の研究として計画していた三つの複合糖質分子種の調製法の確立についてほぼ達成することができた。さらにムチン型糖鎖については、次年度に計画していた組織サンプルへの応用を既に行い、詳細な解析を始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に確立した個々の手法を統合して単一の組織サンプルに対して網羅的な糖鎖構造解析を行う。具体的には、マウスの肝臓をモデル試料に用いて、N-結合型糖鎖、O-結合型糖鎖、細胞内遊離糖鎖、スフィンゴ糖脂質を一度に分析できる系を構築する。
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Research Products
(7 results)