2016 Fiscal Year Research-status Report
糖鎖アトラス作成のための網羅的な糖鎖解析技術の開発とデータの収集および公開
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15K06991
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
長束 俊治 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00243163)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 糖鎖 / 網羅的解析 / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに開発確立した糖鎖の網羅的解析手法を用いることにより、ゼブラフィッシュの胚発生時期における糖鎖構造の変遷を網羅的に分析することに成功し、N-結合型糖鎖に関する部分を査読付き論文として発表した(Ken Hanzawa, Noriko Suzuki, Shunji Natsuka. Structures and developmental alterations of N-glycans of zebrafish embryos. Glycobiology, 27 (3) 228-245 (2017))。さらに、既に解析を終えているO-結合型糖鎖と遊離糖鎖に関する論文も執筆中である。一方、数種類の糖タンパク質標品や動物組織の網羅的糖鎖構造解析を行い、糖鎖構造と発現量に関するデータを蓄積することに成功した。それらのデータを二次元糖鎖マップという形式に編集してインターネット上で公開した。さらに、標準糖鎖の糖鎖マップデータの件数を大幅に増加したデータベースの改訂版を公開した。 糖鎖アトラスの簡易版の作成を目的として、ヤツメウナギの各臓器から糖鎖を調製して網羅的に解析を行い、各臓器の糖鎖マップを作成した。それぞれの臓器の糖鎖マップは、特徴的な構造と発現量を示しており、この方法によって有用性の高いデータベースを構築できることを実地で示すことができた。現在この解析結果に関する論文も執筆中である。今回作成した糖鎖アトラスは部位数が限られた簡易版であるが、本研究において確立した手法で大規模な解析を行い部位数を桁違いに増やせば、さらに有用性の高いデータベースを作成できることが確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生体試料の糖鎖を網羅的に解析する手法の開発を行い、実際の試料に対する有用性を示すことにも成功している。またその際に得られたデータをネット上で公開し、広く共有することも既に行っている。さらに簡易版の糖鎖アトラスの作成にも成功していることから、本研究課題の目標である、糖鎖アトラス作成法の開発とデータの公開を順調に進展させていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の終了後、引き続きヒトやマウスを対象とした大規模な糖鎖アトラス作成プロジェクトの遂行が想定されている。本研究課題の最終年度には、その大規模解析への移行をスムースに行うために、手法のさらなる簡便化およびルーチン化を推し進める。具体的には、質量分析とのマッチング向上と手法の簡易化のためのHPLCによる標識糖鎖の分離条件の改良や、糖鎖構造推定ソフトウェア(SymGlycan)の改良による推定精度の向上、実験プロトコルの平易化とネット公開などを行う。
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Causes of Carryover |
支払が4月になったためであり、執行済みである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
既に執行済みである。
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Research Products
(4 results)