2015 Fiscal Year Research-status Report
動物の組織リモデリングに働く抗原タンパク質と獲得免疫系の分子間相互作用の解明
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15K06992
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
井筒 ゆみ 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20301921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 道彦 北里大学, 理学部, 准教授 (90240994)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 蛋白質 / 発現制御 / 発生・分化 / 細胞・組織 / 免疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度(初年度)は、研究計画1にあげていた免疫担当細胞のノックダウン実験を行った。表題のとおり、動物の組織リモデリングには、ターゲットである(1) 抗原タンパク質と、エフェクターである(2) 獲得免疫系の、2つの要因が関与していることが先行研究によって示唆されている。 (1) については、抗原タンパク質をコードする遺伝子ouro1とouro2 が当研究室内で単離同定されている。これらouro遺伝子の機能解析については、ツメガエル由来のヒートショックプロモーターの下流にgfpと共に組み込んだouro1とouro2 ダブルトランスジェニックツメガエルを用いて既に解析されている。その解析結果から、尾の細胞死にouro1とouro2の2つの遺伝子の共発現が必要であることが示されている。平成27年度に遂行したことは、同トランスジェニックのF5ラインを使って、Ouroタンパク質を標的としている免疫 T 細胞のloss-of-functionを試みた。免疫 T 細胞に対する特異的モノクローナル抗体を投与することにより、目的とするT細胞の50%程度数を減少させることに成功した。コントロール抗体投与群ではほとんど変化がなかった。この条件下で、幼生の尾にOuroタンパク質を過剰発現させた際に尾の細胞死が誘導されなければ、抗原タンパク質オウロボスの発現とそれを標的として働く免疫T細胞の効果という2つの要因が、尾の細胞死には必要十分である、と結論づけられる。3回の独立した実験により、免疫 T 細胞免疫細胞の減少が確認された。さらに、幼生の尾に抗原タンパク質Ouroを過剰発現させたときの発現組織の細胞死が、コントロール群に比べて有意に阻止された。エフェクター細胞の分子的性状についても特定する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MHCが同一なJ系統とトランスジェニック系統(野生型バックグラウンド)のハイブリッドの作成によって、本研究に使用するF5トランスジェニックラインは作成されている。このトランスジェニック個体に顕微注入するための抗体は、研究室内で維持されているハイブリドーマを大量培養し、モノクローナル抗体を含む培養上清をプロテインAカラムで精製することにより、随時調整可能である。ただし、プロテインカラムは消耗が激しく、精製毎に購入する必要がある。FACS解析によって、抗体投与した個体の脾臓T細胞の数が50%程度まで減少したことも、3回の異なった実験により確かめた。T細胞減少と、尾の細胞死の阻止に有意に相関関係が見られた。従って、おおむね順調であると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、XT-1モノクローナル抗体でとらえたT細胞の分子的性状を明らかにする予定である。まず、CD3マーカーを有するいわゆるT細胞であるかどうかだが、既に予備的実験において、良好な結果が得られている。次に、T細胞の受容体の発現をin situやRT-PCR法によって明らかにし、関与T細胞を同定する。方法としてFACS解析が必要となるが、現在は他学部の機器を利用している。使用料や二次抗体にコストがかかるので、予算内で可能かどうか不安がある。効果T細胞の性状が明らかになると、Ouro蛋白質の認識という観点から、上皮組織破綻への経路を調べることが可能となると考えられる。
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Research Products
(3 results)