2017 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanism of new cellular functions mediated by polysialic acid
Project/Area Number |
15K06995
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 ちひろ 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 准教授 (10343211)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ポリシアル酸 / ポリシアル酸転移酵素 / 統合失調症 / BDNF / FGF2 / ドーパミン |
Outline of Annual Research Achievements |
脊椎動物脳には学習・記憶・社会性行動に深くかかわる酸性多糖"ポリシアル酸(polySia, PSA)"が存在する。我々はこれまでpolySiaがその機能を発揮する際、従来考えられてきた反接着性相互作用を持つ"反発性の場"をつくりだしているだけでなく、神経作用因子の保持および放出(提示)作用を持つ"誘因性の場"も提示することを世界に先駆けて明らかにしてきた。これまでにpolySia鎖を生合成するSTXやPSTにより、精神作用因子であるFGF2やBDNFの結合性が異なることが明らかになった。最終年度ではこれまで困難であり、ほとんど測定されてこなかったpolySia鎖の反発性の場を、我々が開発してきた誘因性の場を測定する系を応用して測定することを行った。その結果、STXが生合成したpolySia-NCAMを固相化すると、アナライトとしてのpolySia-NCAMや他のNCAMに対して反発性の性質を示すことが明らかになった。一方、PSTが生合成するpolySia-NCAMはそのような性質を示さなかった。さらにpolySia-NCAMに対してはこれまで反発性の性質のみと考えられてきたが、それ同士が相互作用する性質があることが今回初めて明らかになった。統合失調症型のSTXで生合成したpolySia-NCAMに対しては本来存在するはずである反発性の性質が損なわれていた。以上の一連の結果から、STXが生合成するpolySiaには分子誘因性と分子反発性の両方の性質があり、PSTが生合成するpolySiaには分子誘因性しか存在しないことが明らかになった。さらに統合失調症型のSTXではそのどちらの性質も不全になることが今回初めて明らかになった。
|