2015 Fiscal Year Research-status Report
阻害剤作用機構研究を基盤とした呼吸鎖酵素NDH-2の反応機構の解析
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15K07005
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
山下 哲生 香川大学, 医学部, 助教 (80444727)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 基質結合部位 / ユビキノン / 酵素の触媒機構 / フラボプロテイン / 薬剤標的分子 / 結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ユビキノンを基質にする呼吸鎖酵素群においてユビキノン結合部位は構造的な相同性が低く薬剤の特異的な標的部位になり得るため(Biochim. Biophys. Acta (2004) 1608, 97-103)、東京大学の北潔教授が保有しているエネルギー代謝系で機能する呼吸鎖酵素の特にユビキノン結合部位に対する阻害剤ライブラリー(約300種)を用いてNDH-2の特異的阻害剤を見出すためのスクリーニングを行った。 一次スクリーニングにおいて濃度10 micro-Mで酵素活性を50%以上阻害する化合物を選別し、二次スクリーニングによって正確なIC50を求めた。その結果、NDH-2の阻害剤としてこれまで報告されてきた化合物とは全く構造骨格の異なる新たな化合物を数種類見出した。ユビキノン結合部位に対する阻害様式を反応速度論的に解析した結果、ほとんどの化合物はユビキノンに対して混合阻害を示したが、化合物A(未発表のため名前を伏せる)は拮抗阻害を示した。これまで酵母NDH-2を含め他の種のNDH-2においてもユビキノン結合部位に対して拮抗的に作用する阻害剤は報告されておらず、本研究によってはじめて拮抗阻害剤が見出された。 上述の拮抗阻害を示す化合物を含め、混合阻害を示す数種類の阻害剤について酵母NDH-2との共結晶が得られ、現在、大型放射光施設SPring-8やPhoton Factoryを利用した構造解析が行われている。未発表のため詳細は述べられないが、阻害剤結合部位に関する知見として拮抗阻害を示す化合物と混合阻害を示す阻害剤では、酵素への結合位置に明らかな違いがあることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究における基盤となり得る「酵母NDH-2のユビキノン結合部位を標的とした阻害剤の検索」実験に関して、ユビキノン結合部位に対する阻害剤ライブラリーを利用することにより非常に効率よく進めることが出来た。そのため平成27年度後半から予定していた「酵素と阻害剤の共結晶化による阻害剤結合部位の同定」実験を前倒しで進めることが出来た。阻害剤との共結晶化実験は以前の結晶化条件を一部改良することで、ほとんどの阻害剤と共結晶が得られ、いくつかの共結晶位に関しては単独での結晶よりも高解像度で結晶構造を決定することに成功している。現在、平成28年度から29年度にかけて行う予定である「電子伝達経路の生化学的解析」実験を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在得られている阻害剤についてはNDH-2との共結晶構造解析が進んでいるため、今後、阻害剤の阻害様式および実際の結合部位から基質であるユビキノン結合部位を同定する。具体的には阻害剤の結合部位からユビキノンと相互作用すると予想されるアミノ酸を部位指定変異により他の残基に置換し、反応速度論的解析によって反応速度・親和性を調べる。
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Causes of Carryover |
本年度、超音波破砕機一式を購入する予定であったが、本学の実験実習機器部門に超音波破砕機一式が導入されたことより設備備品購入費用が使われずに差額が生じた。しかし、研究計画が前倒しで進んでいることで、本年度の費用として予想しなかった遺伝子組換え実験試薬および培養関連試薬の消耗品費が増えたため、全体としての差額は大きくならなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画の進捗に合わせ、平成28年度および29年度に予定している消耗品を購入する。
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Research Products
(1 results)