2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the reaction mechanism of type II NADH dehydrogenase by structural and biochemical analyses of the enzyme-inhibitor interaction.
Project/Area Number |
15K07005
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
山下 哲生 香川大学, 医学部, 助教 (80444727)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | NADH dehydrogenase / ユビキノン結合部位 / X線結晶構造解析 / 共結晶 / 阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
Type II NADH脱水素酵素(NDH-2)はマラリアや結核菌等の病原体に対する新規治療薬の標的分子として注目されている。選択性の高い著効性阻害剤を開発するためには、NDH-2の反応機構とその構造的基盤を理解した上で、タンパク質と阻害剤の相互作用を分子レベルで調べる必要があり、基質であるNADHおよびユビキノンの結合部位の同定が必須である。本研究では酵母NDH-2(Ndi1)を研究材料として、阻害剤を用いた構造生物学的解析および生化学的解析を行うことでユビキノンの生理的な結合部位を決定した。 Ndi1のNADH-ユビキノン還元活性を低濃度で阻害する(IC50 < 1 μM)化合物を他の呼吸鎖酵素のキノン結合部位に対する既知の阻害剤から探索し、ユビキノンとの結合を競合的に阻害するスティグマテリン(STG)と混合的に阻害するミキソチアゾールおよびオーラシン誘導体AC0-12を見出した。そしてNdi1とこれら阻害剤との共結晶構造を決定した。スティグマテリンはNdi1の2つの異なる部位(STG-1およびSTG-2)に結合し、補欠分子族FADの近傍に位置するSTG-1の電子密度はさらに2つの結合様式(STG-1aおよびSTG-1b)を示した。同じくFAD近傍に結合するAC0-12およびミキソチアゾールとSTG-1の結合様式を比較したところ、STG-1a部位におけるスティグマテリンの脂肪族側鎖が混合阻害剤と異なる空間に結合していた。 さらに、STG-1a部位においてこの脂肪族側鎖と相互作用するアミノ酸残基の変異体は、ユビキノンに対する親和性を減少させた。 以上の結果から、STG-1a部位におけるスティグマテリンの脂肪族側鎖の位置は、Ndi1の競合的阻害のための構造的基礎を提供し、 ユビキノンの生理的な結合部位はSTG-1a部位と重複することが明らかとなった。
|
Remarks |
本研究の性質上、阻害剤の名称を明らかにすることができなかったため、論文が発表されるまで学会での発表を控えていた。
|
Research Products
(4 results)