2019 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular clutch between ATP and proton motors in ATP synthase
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15K07013
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
山田 康之 立教大学, 理学部, 教授 (80386507)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脱共役 / ATP / 活性調節 / プロトン輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまでに作製したプロトン輸送活性を持たない変異体について、詳細な解析を行った。その結果、通常の条件で得られる反転膜小胞に含まれるTFoF1分子のうち、およそ3割程度がATPを基質に用いた場合でも脱共役しており、不完全な状態にあると見積もられた。最近報告されたTFoF1の低温電子顕微鏡による構造解析においても、2nd stalkの欠落した分子が相当程度観察されており、このような分子が反転膜中にも存在するものと考えられる。これらの分子の寄与を差し引いて正常な状態にあると考えられるTFoF1分子について、もっぱら脱共役状態を取ると考えられるGTPを基質とした条件下での共役の程度を見積もったところ、GTPを基質とした場合でも完全に脱共役している訳ではなく、およそ3割程度の分子が共役状態にあると見積もることができた。εサブユニットへのGTPの弱い結合に対応するものと考えられる。 この他、サブユニット間架橋による共役の回復を改めて検討するために、最近報告されたTFoF1の全体構造を参照し、新たにγ-cサブユニット間に架橋を形成しうる変異体を作製した。現在この変異体の解析を進めている。この他、共役に関与するεサブユニットへのATP結合の測定方法を見直し、改めて野生型εサブユニットへのATP結合の強さを測定し、従来得られていた値より10倍程度結合が強いことを明らかにした。 研究期間全体では、脱共役に関与するεサブユニットへのATP結合の強くなった変異体を得られた、野生型εサブユニットへのATP結合強度の再評価を行った、枯草菌ATP合成酵素の活性調節の生理的意義を明らかにした、TFoF1に含まれる不完全な分子の割合を見積もることに成功した、などの成果が得られた。
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Research Products
(3 results)