2016 Fiscal Year Research-status Report
1分子ナノ計測によるバクテリアべん毛モーター最小機能単位の特性評価
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15K07034
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
曽和 義幸 法政大学, 生命科学部, 准教授 (10519440)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細菌べん毛モーター / ナノ計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸菌べん毛モーターは,菌体の表層から突き出ているらせん状のべん毛フィラメントを回転させる直径約50 nmの分子機械である.モーターの最小機能単位は回転子リングに1個の固定子ユニット(MotA/B複合体)が配置している状態である.本研究では,分子操作・ナノ計測に利用される光ピンセットを用いて,最小機能単位が発生するトルク特性の評価を行うことを目的としている.本年度は,大腸菌べん毛モーターが発生する最大トルクを光ピンセット法で検出することを中心におこなった.モーターから伸びるべん毛フィラメント1本を顕微鏡カバーガラスに固定し,その結果回転する細胞本体を光ピンセットでビーズを介して捕捉し,ビーズの重心位置を高速度カメラで取得した画像から解析した.また,昨年度の研究結果から光ピンセットの細胞本体への影響が懸念されたので,その補正方法を模索した.具体的には,モータートルクを発生する固定子ユニットを構成するタンパク質を欠失した株(motAB欠失株)を用いて,トルク計測と同じ手順で実験を行った.その結果,細胞・ビーズ・光ピンセットが作り出す新たな安定点を求めることができ,これを基準としたビーズの重心位置の移動距離からモーターの発生する実質的なトルクを見積もることができた.過去に同様の実験から求められた値の半分程度のトルクが実際には発生していることが明らかとなり,入出力特性の考察に重要なパラメータを得ることが出来た.また,2種類のイオンを利用するモーターについても,ビーズアッセイにより1ユニット当たりの出力を求め,入出力特性を見積もることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の問題点であった光ピンセットの細胞本体への影響を補正する方法を試し,良好な成果が得られたため.
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Strategy for Future Research Activity |
長時間光ピンセットでモーターを捕捉し,その時間変化から最小機能単位のトルクを見積もることを目指す.
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Causes of Carryover |
今年度まで装置の開発および実験への応用を進めてきた.計測については比較的順調に進んでいるが,遺伝子組換えによる試料の改良には着手が遅れているため,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遺伝子組換えによる試料の改良のために,研究補助員の雇用および遺伝子組換え消耗品への使用を計画している.
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Research Products
(8 results)