2015 Fiscal Year Research-status Report
新規光感受性イオンチャネルの創製による細胞機能の光制御
Project/Area Number |
15K07035
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Research Institution | The Graduate School for the Creation of New Photonics Industries |
Principal Investigator |
平野 美奈子 光産業創成大学院大学, 光産業創成研究科, 講師 (80585167)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | イオンチャネル / 光感受能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、光刺激で活性が制御される光感受性イオンチャネルを作製し、非侵襲な光で細胞機能を操作する系を確立することを目的としている。この系の確立により、光で細胞内のイオン環境を操作することが可能になり、イオン環境が鍵となる生命現象の基盤の解明が促進されることが期待される。本年度は、光感受性イオンチャネルの創製のため、以前我々が解明したK+チャネル(KcsA)の活性制御機構の知見を利用し、光刺激で構造変化する光感受性ドメインや蛋白質を用いて、光刺激でKcsAチャネルの活性が変化する変異体を作製することを目標とした。詳細を以下に示す。 1、KcsAチャネルの細胞内領域による活性制御において最も重要なアミノ酸E146の荷電状態を光刺激で制御するため、E146付近に光感受性ドメイン(LOV)を付加した変異体を3つ作製した。これらの変異体の活性測定により、KcsAチャネルのE146付近の5アミノ酸残基の有無で活性が異なることがわかった。 2、様々な長さのKcsAチャネルに、光感受性ドメイン(LOV)または様々な長さの光感受性蛋白質(PAC)を付加した変異体のコンストラクトを約70種類作製した。これらをK+輸送欠損大腸菌に形質転換し、光刺激の有無で増殖能が異なる、すなわちK+輸送能が異なる変異体をスクリーニングした。その結果、暗所で増殖が高い変異体が15個得られた。また、約3分の2の変異体が野生型KcsAチャネルとは異なる増殖能を示した。 今後はこれらの情報を基に、光刺激で活性を示すイオンチャネルの作製に向け、キメラ変異体の再設計を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度実施した研究により、KcsAチャネルに光感受能を付与するのに重要な部位を絞り込むことができた。得られた情報を基に、さらにキメラ変異体の再設計を行うことで、光照射時のみ活性を示すチャネルを創製できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られたKcsAチャネルと光感受性ドメイン・蛋白質の活性に関する情報を基に、KcsAチャネルの最適な長さや光感受性蛋白質の長さを検討し、キメラ変異体の再設計を行う。再設計した変異体のコンストラクトをK+欠損大腸菌に導入し、光照射時に増殖がよいものを選びだす。選び出された変異体を単離・精製し、電気生理学的手法により光照射時と暗所でのイオン電流を測定し、活性の光感受性を調べる。光感受能が高いものについて、さらに詳細に設計を検討し、同様にスクリーニングする。
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Causes of Carryover |
今年度に本研究と似た研究が他のグループから報告され、それを受けて実験方法を一部変更したため、計画していた物品を一部購入しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
光感受性チャネル創製のための遺伝子工学試薬・生化学試薬:24万
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Research Products
(1 results)