2017 Fiscal Year Research-status Report
新規光感受性イオンチャネルの創製による細胞機能の光制御
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15K07035
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Research Institution | The Graduate School for the Creation of New Photonics Industries |
Principal Investigator |
平野 美奈子 光産業創成大学院大学, 光産業創成研究科, 講師 (80585167)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イオンチャネル / 光遺伝学 / イオン環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、イオン環境が鍵となる生命現象の基盤の解明のために、非侵襲な光で活性が制御される光感受性イオンチャネルを創製し、細胞機能を操作する系を確立することを目的としている。本年度は、光感受性チャネルを構成するK+チャネル(KcsA)の活性制御機の解明と、昨年度スクリーニング実験により選び出した光感受性チャネル候補変異体の特性を調べた。以下に詳細を示す。 1.KcsAチャネルの細胞内領域の数個のアミノ酸の荷電状態が変化した変異体は不活性化が起こらないことから、細胞内領域は不活性化に関わる活性制御に重要な影響を与えていることがわかった。光感受性チャネル作製の際は、KcsAチャネルの細胞内領域の状態を光で変化させればチャネルの開・閉状態を制御できると考えられる 2.昨年度得られたKcsAチャネルと光感受性蛋白質から成る光感受性チャネル候補変異体のうち、KcsAチャネル全長と光感受性蛋白質PACの光感受性ドメインであるBLUFドメインから成る変異体は、野生型と比べて常に高いチャネル活性を示した。BLUFやKcsAの長さがそれぞれ数10アミノ酸短い変異体は高い活性を示さなかったことから、これらの削った部位での相互作用が活性に影響していると考えられる。また、スクリーニング(増殖能測定)の結果から光照射時より暗所で活性が高いと考えられていた変異体は、実際はチャネル活性に影響はなく、PACの活性(cAMP産性能)の光感受性が増殖能に強く反映されていたことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究により、光感受性チャネルとなりうる候補のキメラ変異体を絞れ、さらにその変異体の活性制御に関わる知見が得られた。このキメラ変異体の改変により、目的のイオンチャネルが創製できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
常にチャネル活性が高いキメラ変異体の、活性を高めていると思われる部位の長さを変え、光照射に依存したチャネル活性の変化を調べる。変化が得られた変異体のチャネル活性能の光感受性を電気生理学的手法で詳細に調べる。
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Causes of Carryover |
本研究での光感受性イオンチャネルの創製において、当初は作製した変異体候補ライブラリーの光感受能を電気生理学的手法で一つ一つ評価していたが、K+輸送欠損株を用いた評価手法が多数の変異体の光感受能評価に有用であることがわかったため、その評価方法に変更した。新たにこの評価系を立ち上げたため、研究計画が次年度まで延長し、次年度使用額が生じた。次年度は変異体の改変と電気生理学手法による変異体の活性測定に必要な物品を購入する予定である。
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