2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K07042
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中津 史 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50360607)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | イノシトールリン脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
イノシトールリン脂質は、シグナル伝達、メンブレントラフィック、細胞骨格や脂質輸送・代謝など様々な細胞生理機能に極めて重要な役割を担っている。中でもPI4Pは細胞膜に豊富に存在し、細胞の生存に必須であることが判明しているが、その合成・代謝機構や生理機能の全容は明らかではない。今年度は、神経細胞の成長円錐におけるPI4P及びその合成酵素であるPhosphatidylinositol 4-kinase IIIα (PI4KIIIα)の機能解析を行った。神経芽細胞腫由来のNG108細胞は、血清除去により神経様突起を伸長する。これは神経細胞における成長円錐様の構造および機能を有しているため、成長円錐モデルの一つとして研究されている。NG108細胞にPI4KIIIαおよび結合分子群EFR3およびTTC7を発現させ局在を調べたところ、PI4KIIIαはEFR3およびTTC7と共に神経様突起の細胞膜に局在した。さらに、PI4PのマーカーであるGFP-P4Mを発現させたところ、やはり神経様突起の細胞膜に強く局在した。これらのことから、神経成長時の成長円錐様構造には、PI4Pが豊富に存在することがわかった。また、PI4PはHeLa細胞などの非神経細胞においては、オキシステロール結合タンパク質群が細胞膜PI4P依存的に小胞体―細胞膜接触部位に局在することが知られている。そこで、NG108細胞にオキシステロール結合タンパク質群を発現させたところ、これらは神経様突起において小胞体―細胞膜接触部位に局在した。これらのことから、成長円錐において、細胞膜PI4PはPI4KIIIα複合体によって合成され、小胞体―細胞膜接触部位形成に関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Phosphatidylinositol 4-kinase IIIα (PI4KIIIα)、およびPI4KIIIα制御分子群は、神経芽細胞腫の神経様突起の細胞膜に局在した。この知見と一致して、GFP-P4Mも神経様突起の細胞膜に強く局在したことから、神経細胞の成長円錐・細胞膜にはPI4Pが豊富に存在し、これらはPI4KIIIα複合体によって合成されていることが示唆された。また、オキシステロール結合タンパク質ファミリーも神経様突起において小胞体―細胞膜接触部位に局在したことから、PI4KIIIα複合体によって合成されたPI4Pは、神経細胞の成長円錐において小胞体―細胞膜接触部位形成に寄与していることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、PI4KIIIαの特異的阻害剤や、光遺伝学的もしくはケミカルバイオロジー手法などによる短期的機能欠損および脂質操作法等により、PI4P合成をacuteに阻害・促進することで、神経細胞の成長円錐におけるPI4P合成機構および生理機能をイメージング等により解析する。
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