2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K07043
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 裕教 京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (50303847)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細胞・組織 / シグナル伝達 / 癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞運動は、がん細胞の浸潤など様々な疾患と深く関わりがあり、従って細胞の運動性を制御する仕組みを解明し、その仕組みに関わる分子をターゲットとした治療法を確立することが重要である。本研究では、これまで申請者が行ってきたエフリン受容体によるRhoファミリーGタンパク質活性制御因子の制御と細胞運動に関する研究をさらに発展させ、特にがん化の促進との関連が深い肝細胞増殖因子(HGF)などの成長因子によるシグナルとエフリンシグナルとの相互作用について、イヌ腎臓尿細管上皮細胞由来のMDCK細胞を用いた三次元培養系を用いたより組織発生に近い実験系で検討を行った。 その結果、MDCK細胞をHGF刺激することによって、速やかにEphA2の細胞内領域に存在する897番目のセリン残基がリン酸化されることを見出した。次に、HGFによるEphA2のセリン897のリン酸化の意義を解析するため、RNAiによってEphA2の発現を抑制したMDCK細胞を作成し、そこにヒトの野生型あるいは897番目のセリンをアラニンに置換した変異体(S897A)を新たに導入した細胞を構築した。これらの細胞を用いて三次元培養を行ったところ、EphA2-S897A変異体では上皮細胞の管腔構造から新たにチューブを形成する最初の段階、すなわち細胞が上皮間葉転換を引き越すところで異常が見られることが明らかになった。また、この機能にはEphA2と結合する低分子量Gタンパク質RhoGの活性化因子であるEphexin4が必要であることも新たに見いだされた。以上の結果から、上皮管腔構造からHGFの刺激によって新たに細胞が運動性を保持するときに、HGFからEphA2シグナルの活性化が重要な役割を担っていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究実施計画としてあげていた、三次元培養系を用いたHGFシグナルとEphA2シグナルの相互作用の解析については、本年度までに HGFによるEphA2のリン酸化とその役割について三次元培養系を用いて研究を進め、学術雑誌に論文として発表した。一方、今年度のもう1つの研究実施計画としてあげていた、神経膠芽腫におけるRhoG活性化因子SGEFの機能解析については、SGEFがチロシンキナーゼSrcによってリン酸化されることを新たに見出し、現在その役割と神経膠芽腫の悪性化との関わりについて解析を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究に引き続き、SGEFのSrcによるチロシンリン酸化の役割と神経膠芽腫の悪性化との関わりについて研究を進めるとともに、疾患に関連した他のRhoファミリーGタンパク質活性制御因子の機能解析についても進めていく。SGEFについては、最近になって神経膠芽腫の細胞運動性を促進しているとの報告がなされたため、SGEFのSrcによるチロシンリン酸化が神経膠芽腫の細胞運動性に与える影響について検討する。具体的には、リン酸化あるいはリン酸化欠失各変異体を作成して神経膠芽腫細胞に発現させ、トラスウェルを利用した浸潤アッセイにより細胞の浸潤性へのリン酸化の影響を調べる。また、どのような細胞外因子によってSGEFが活性化され、あるいはリン酸化が制御されているかについて、その活性化やリン酸化までに関わるシグナル分子を含めて網羅的な解析を行い、その全容の解明を目指す。一方、他のRhoファミリーGタンパク質活性制御因子については、これまで疾患との関わりが報告されているものの未だ機能が明らかになっていないものから順に、リアルタイムPCRにより組織特異性を調べるとともに、各分子の発現組織由来の細胞における細胞運動性への影響を検討する。具体的には、RNAiを用いた発現抑制による細胞運動性への関与や、トランスウェルを用いた細胞の三次元移動モデルを用いてどのような細胞外環境において各因子の活性が制御され機能を発揮しているか、さらには移動中の細胞における細胞内局在や活性化の局在について観察していく。
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Research Products
(4 results)