2017 Fiscal Year Research-status Report
HB-EGF-ErbB4シグナルによる細胞増殖制御機構とその応用
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15K07046
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩本 亮 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (10213323)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 細胞増殖因子 / 心臓弁形成 / 増殖抑制 / がん増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、これまでの研究から、EGFファミリーの増殖因子HB-EGFが、その受容体ErbB4を介して、マウス心臓弁形成過程において間質細胞の増殖を抑制することで正常な弁形成制御に寄与していることを明らかにしている。そこで本研究の目的は、HB-EGF-ErbB4による細胞増殖制御の分子機構を明らかにし、さらにこの機構をHB-EGFのがん増殖抑制に応用し、新たながん治療法の確立を目指すことである。これまでに以下のことを明らかにした。 1) 切断型ErbB4であるJM-aタイプがHB-EGFノックアウト(KO)マウス由来弁間質細胞の過増殖を抑制、逆に非切断型JM-bタイプが野生型細胞の過増殖を誘導したことから、HB-EGFによる増殖抑制には受容体として切断型のJM-aタイプErbB4が寄与していることがわかった。 2) ErbB4 KO胎仔心臓弁の肥厚、そしてErbB4 KO由来弁間質細胞がHB-EGF KOの場合と同様に過増殖を示したことなどから、実際のマウス生体でもHB-EGFによる増殖抑制には受容体としてErbB4が寄与していることがわかった。 3) ErbB4 JM-aタイプのさらなる細胞内領域バリアントであるCYT-1とCYT-2の増殖抑制能を検討したところ、いずれのタイプも抑制能を有することがわかり、増殖抑制に関わる細胞内領域はCYT-1/CYT-2両方に含まれる領域であることがわかった。 4) HB-EGF-ErbB4による細胞増殖制御機構のHB-EGF依存性がん増殖抑制への応用を目的として、ErbB4細胞内領域(ErbB4-ICD)をテトラサイクリン依存性に誘導発現する乳腺上皮細胞株を樹立し、ErbB4-ICD発現依存性に細胞増殖が抑制されることを確認した。今後はこの系を用いて、がん細胞増殖抑制法の検討をしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、増殖抑制におけるErbB4下流シグナル解析として、ErbB4細胞内領域に結合する因子の同定実験、及びHB-EGFの増殖抑制シグナルに拮抗するEGFRリガンドの同定実験を行う予定であったが、マウス心臓弁形成におけるHB-EGF-ErbB4による増殖抑制機構を明らかにした段階で、これらを論文にまとめてpublishしたので、これらの作業に時間を要し、本来の計画が遅延している為。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、増殖抑制におけるErbB4下流シグナル解析と合わせ、HB-EGF-ErbB4抑制シグナルと並立拮抗するEGFR増殖促進シグナルを活性化するリガンドの同定と、増殖活性化シグナル下流の解析も行う予定である。そしてこれらの機構をHB-EGF依存性に増殖するがん細胞に導入することで、細胞増殖を抑制転換させる系を構築する。
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Causes of Carryover |
平成29年4月より研究代表者の異動に伴い、研究以外の事務的業務が大幅に増加し、またこれら多くの新規業務の習得等のため、29年度は研究・実験に時間を割くことが困難であった。故に、予定していた研究が大幅に遅延し、未使用額が生じた。しかし、研究以外の業務にもようやく慣れてきたので、次年度は研究・実験に時間を割き、予定の残りの研究・実験を遂行できる予定であり、未使用額はその経費に充てることとする。
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[Journal Article] RNA Aptamer Binds Heparin-Binding Epidermal Growth Factor-Like Growth Factor with High Affinity and Specificity and Neutralizes Its Activity.2017
Author(s)
Masaki Yamato, Tetsuo Minamino, yamato masaki, Takashi Matsuzaki, Ryo Araki, Shota Tsuchida, Keiji Okuda, Hai Ying Fu, Shoji Sanada, Hiroshi Asanuma, Yoshihiro Asano, Masanori Asakura, Hiroomi Torii, Kentaro Noi, Hirotsugu Ogi, Ryo Iwamoto, Eisuke Mekada, Seiji Takashima, Yasushi Sakata, Masafumi Kitakaze
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Journal Title
Int. J. Gerontol.
Volume: 11
Pages: 191-196
DOI
Peer Reviewed