2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K07052
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| Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
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Principal Investigator |
日笠 弘基 産業医科大学, 医学部, 講師 (40596839)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | Hippo経路 / YAP/TAZ制御機構 / 腫瘍化と再生 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
広範囲の生体組織において恒常性を維持し抗腫瘍シグナルとして作用するHippo経路の主な抑制標的は転写共役因子であるYAP/TAZである。このようにYAP/TAZの活性化は腫瘍化・がん幹細胞維持を促進するが、その一方、種々の組織幹細胞でも観察され、組織再生にも必須であることわかっており、生体恒常性の破綻と維持の両方に関わる諸刃の剣であることがわかる。それ故に、生体内でHippo経路およびYAP/TAZの活性が厳密にコントロールされていることが予想されるが、どのような環境やストレスで、方や腫瘍化、一方で組織再生に向かう道筋が規定されるのは全く分かっていない。そこで、我々はこれらの解明は、がんの予防・治療や再生医療の観点からも急務であると考え、その手がかりを得るために、内在性のYAP/TAZの活性化を視覚化・定量化できるYREレポーターを導入した細胞を利用して、siRNAライブラリーおよび標準シグナル剤キット（化学療法基盤支援活動）のスクリーニングを実行し、YAP/TAZの活性を制御する遺伝子やシグナル・ストレス刺激を網羅的に検索した。その結果、siRNAスクリーニングより糖鎖修飾、低栄養応答、炎症応答関連遺伝子や、さらに機能未知のキナーゼを同定し、Hippo経路シグナル伝達因子やYAP/TAZとの相互作用を解析中である。さらに、標準シグナル剤キットを用いたスクリーニングからは、種々のストレス応答に関わる薬剤がYAP/TAZの活性制御と密接に関わっている可能性が示唆され、その作用点を解明するとともにその効果に関する特許の申請を準備中である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成２８年度は、レポータースクリーニングにより同定した、YAP/TAZ活性を制御する遺伝子や薬剤に関して、内在性のYAP/TAZ標的遺伝子に対する効果やその作用機序の解明を主な課題していた。しかしながら、平成２８年７月より産業医科大に赴任し、その異動前後の準備、異動後これまで汎用してきた実験系の立ち上げと再現性の確認、さらに必要機材の用意のために予定した進行状況よりやや遅れている。現在、産業医科大でも従来の実験系が遂行出来ることを確認出来たので、平成２８年度に予定していた研究を遂行中である。
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| Strategy for Future Research Activity |
レポータースクリーニングにより同定された遺伝子の特性に基づき、今後の研究を遂行するにあたって以下のような作業仮説を得ている。
1.低栄養環境がYAP/TAZを活性化し、がん幹細胞の維持・自己複製に作用する。2.炎症細胞からの炎症性サイトカインがYAP/TAZを活性化し、腫瘍化・増悪化もしくは損傷組織の再生を促す。3.糖鎖修飾の変化がYAP/TAZを活性化し、腫瘍化、もしくは組織再生を促す。4.DNA障害を引き起す外的ストレスがYAP/TAZを活性化し、腫瘍化を促す。
今後、これら仮説を検証するために、同定された因子のYAP/TAZへの作用点および生理機能を、培養細胞を用いた生化学的な解析により明らかにし、さらに有望な因子は機能欠損・亢進マウスを作製し、胚発生・成体におけるYAP/TAZの活性化、形態形成変化、腫瘍化の頻度に注目して解析を進めたい。また、YAP/TAZの活性を制御する薬剤に関しては、抗腫瘍および組織再生の観点からも特許の出願を目指す。
これにより、YAP/TAZ を制御するシグナル・ストレス・遺伝子などの分子基盤が明らかにして、生体内におけるYAP/TAZによる生体恒常性システム破綻と維持の分子機序解明し、がん疾患や再生医療の治療戦略に貢献することを目指したい。
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| Causes of Carryover |
平成２８年７月に現所属に異動にあたり、その準備および立ち上げのために、予定していた研究の一部を順延したため。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画の通り、同定したYAP/TAZ制御因子の作用機序の解析のために必要なHippo経路関連因子の抗体や試薬の購入に当てる。
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