2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K07055
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
梅田 一彰 熊本大学, 生命科学研究部, 講師 (80444876)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | インテグリン / エンドサイトーシス / ARRDC1 / Nedd4L |
Outline of Annual Research Achievements |
接着分子インテグリンは、細胞基質間接着を司るタンパク質の一つで、細胞運動、増殖、分化に深く関与していることが知られている。しかし、いかなる分子機構で、膜上のインテグリンが数量調節を受けているかは、ほとんど解明されていない。本研究によって、インテグリンのユビキチン化の制御機構、およびその役割を明らかにすることを目的としている。 これまで、インテグリンは細胞膜上でユビキチン化され、その結果エンドサイトーシスされるとの仮定の下、各種実験を行ってきた。その結果、インテグリンα5β1がユビキチン化される際に、インテグリンとユビキチン化酵素の結合を仲介するアダプター分子の候補として、ARRDC1を見出した。本研究では、特に、ARRDC1を介したインテグリンα5β1のユビキチン化制御機構の解明を焦点に研究を進めている。 インテグリンα5β1は、ユビキチン化酵素Nedd4Lによってユビキチン化されること、またARRDC1はインテグリンα5β1に結合することを見出している。そこで、Nedd4LとARRDC1が結合するかどうかを免疫沈降法により調べた。構造的な特徴として、ARRDC1は、PYモチーフと呼ばれる配列を有している。この配列は、WWドメインを有するタンパク質と結合することが知られており、Nedd4LはWWドメインを有する。まず、Myc-Nedd4LとARRDC1-EGFPをHeLa細胞に一過性に共発現させた後、GFP抗体を用いて、免疫沈降を行った。沈降画分をウェスタンブロッティング解析し、本画分にMyc-Nedd4Lが含まれるか否かを、Myc抗体により検出した。その結果、Myc-Nedd4LはARRDC1-EGFPと結合することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、インテグリンα5β1がARRDC1と結合すること、またインテグリンα5β1のユビキチン化酵素Nedd4LがARRDC1と結合することを明らかにした。これらのことから、インテグリンα5β1がNedd4Lによりユビキチン化される際に、ARRDC1が両分子の結合を仲介するアダプター分子として機能していることが示唆された。この結果は、本研究の根幹をなすものであり、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
RNAi法により培養細胞で発現しているARRDC1をノックダウンし、各種実験を行う予定である。 これまでの実験結果から、ARRDC1は、インテグリンα5β1とNedd4Lのアダプター分子として機能していると考えている。よって、ARRDC1をノックダウンすると、Nedd4Lがインテグリンα5β1と間接的に結合できなくなり、インテグリンα5β1のユビキチン化量が減少すると推測される。また、インテグリンα5β1は、細胞内で分解されるときに、ユビキチン化されるとの報告がある。よって、細胞膜上と細胞内のインテグリンを区別するために、細胞表面のインテグリンを抗体ラベルした後、ウェスタンブロッティングを行い、ユビキチン抗体で検出する。 インテグリンα5β1はユビキチン化されることで、エンドサイトーシスされることをこれまでに明らかにしている。よって、上述の解析の結果、ARRDC1のノックダウンによりインテグリンα5β1のユビキチン化量が減少していることが明らかとなれば、インテグリンのエンドサイトーシス量も減少することが予想される。そこで、ARRDC1をノックダウンした細胞において、インテグリンα5β1のエンドサイトーシス量が減少するかどうかを調べる。細胞表面のインテグリンα5β1をラベルした後、一定時間細胞内に取り込ませ、エンドサイトーシス量を定量する。インテグリンの定量は、ウェスタンブロッティング法を用いる。
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Causes of Carryover |
研究費の効率的な使用に努めたため、少額の次年度使用額8209円が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降請求する研究費と合わせて、物品費の購入代金として、使用する予定である。
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