2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K07056
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
小倉 顕一 横浜市立大学, 医学部, 助教 (20326028)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | C. elegans / 軸索 / 樹状突起 / 選択的輸送 / 極性 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的:神経細胞は、細胞体、出力を担う軸索、入力を担う樹状突起の3つの異なる領域からなる。軸索、樹状突起には、それぞれ、細胞体からの選択的輸送システムがあり、各構成分子が異なる。この選択的輸送システムは、神経細胞の機能上重要であるが、その分子機構はほとんど明らかとなっていない。私は、モデル生物である線虫C. elegansにおいて、UNC-51(進化的に保存されたセリン/スレオニンキナーゼ)、および、その結合分子UNC-14(RUNドメインタンパク質)が、シナプス小胞前駆体の選択的輸送に重要であることを発見した。本研究では、遺伝的、細胞生物学的研究に適した線虫C. elegansを用いて、軸索、樹状突起における選択的輸送機構を明らかにする。この機構はほとんど明らかとなっていないことから、本研究から、今までにない新規発見が期待できる。 当該年度において:私はUNC-51、UNC-14が、シナプス小胞前駆体の選択的輸送のみならず、軸索と樹状突起の極性形成において重要なUNC-33の選択的輸送にも重要であることを見出した。また、unc-51とunc-33、unc-14とunc-33遺伝子間に遺伝的相互作用を見出した。培養海馬細胞を用いた多くの先駆研究から、軸索と樹状突起の極性形成に重要な分子が多数同定され、魅力的な作業仮説が提唱されている。しかしながら、生体内における神経細胞の極性形成機構は、ほとんど解明されていないことから、私は、線虫C. elegansを用いた神経細胞の極性形成機構の解明も当該研究に加えることとした。一方、シナプス小胞前駆体の局在に必要な遺伝子を2遺伝子同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
私はUNC-51、UNC-14が、シナプス小胞前駆体の選択的輸送のみならず、軸索と樹状突起の極性形成において重要なUNC-33の選択的輸送にも重要であることを見出した。また、unc-51とunc-33、unc-14とunc-33遺伝子間に遺伝的相互作用を見出した。生体内における神経細胞の極性形成機構は、ほとんど解明されていないことから、新発見として研究成果の1つと判断する。一方、シナプス小胞前駆体の局在に必要な遺伝子を2遺伝子同定した。
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Strategy for Future Research Activity |
私はUNC-51、UNC-14が、シナプス小胞前駆体の選択的輸送のみならず、軸索と樹状突起の極性形成において重要なUNC-33の選択的輸送にも重要であることを見出した。今後、詳細な遺伝的、細胞生物学的、生化学的解析を行う。 一方、私はシナプス小胞前駆体の局在異常を示す2遺伝子を同定した。今後、これらの遺伝子に関しても機能解析を行う。 これらの解析から、「神経細胞の選択的輸送」、「神経細胞の極性形成」の研究を進めて行く予定である。
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Causes of Carryover |
当初、新規変異体の原因遺伝子同定のため、次世代シークエンサーを用いた解析(比較的高額)を考えていた。しかしながら、UNC-51、UNC-14が、シナプス小胞前駆体の選択的輸送のみならず、軸索と樹状突起の極性形成においても重要であることを見出したため、当該年度は極性形成の研究(比較的低額)をメインに行った。この結果、次年度使用額が生じた。 次年度、新規変異体の原因遺伝子同定のため、次世代シークエンサーを用いた解析を行う予定である。
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Research Products
(2 results)