2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of cellular processes that involve the importin family nucleocytoplasmic transport receptors
Project/Area Number |
15K07064
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
木村 誠 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (00290891)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 核輸送 / importin / 蛋白質相互作用 / SILAC |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトに20種類存在するimportin-βファミリー蛋白質は核-細胞質間輸送(核輸送)因子であり、多くの核蛋白質の核膜孔通過による核-細胞質間移行を媒介する。細胞質から核内への輸送を担うimportinは12種類あり、数千種の蛋白質の輸送を分担すると考えられる。この核輸送の生理的な機能を解明するためには、個々のimportinに輸送される基質蛋白質をできるだけ多く知る必要がある。本研究の前半では、安定同位体標識と試験管内核輸送再構成系を応用したSILAC-Tp法により12種類のimportinの基質蛋白質を大規模同定した。また、同定された基質蛋白質群の生物情報解析により、12種類のimportinそれぞれの基質蛋白質が関与する細胞活動の一覧を提示した。 大規模基質同定の結果、同一importinの基質蛋白質には類似の一次構造をもつ領域が予想外に少なく、importin-基質相互作用の特異性決定機構には予想を超えた多様性があることが示唆された。その確認のため、一次構造の類似性が高いにもかかわらず共通の基質が少ないimportin-13とtransportin-SRについて、それらのアミノ酸置換変異体と多数の基質蛋白質の半定量的結合解析を29年度に開始し、30年度に終了した。importin-13とtransportin-SRの一方でのみ生物種を超えて保存されたアミノ酸残基には基質結合に関与するものが見られるが、アミノ酸残基ごとの重要度は基質蛋白質により大きく異なることが明らかとなった。共同研究者により、基質蛋白質はimportin上の結合アミノ酸残基の選択性によりグループ分けできることが示され、基質蛋白質の多様な構造へのimportin-βファミリーの対応関係を解明するための基礎的知見となることが期待できる。
|