2015 Fiscal Year Research-status Report
繊毛虫テトラヒメナで見つかった脊椎動物特異的な膜貫通型ヌクレオポリンの機能解析
Project/Area Number |
15K07066
|
Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
岩本 政明 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所バイオICT研究室, 主任研究員 (80450683)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 核膜孔複合体 / ヌクレオポリン / 遺伝子破壊 / ライブイメージング / 2核性 / 繊毛虫 / テトラヒメナ |
Outline of Annual Research Achievements |
繊毛虫のテトラヒメナは、Pom121に類似した核膜孔タンパク質を有している。Pom121は膜貫通型の核膜孔タンパク質で、これまで脊椎動物でしか見つかっていなかった。テトラヒメナで見つかったPom121様タンパク質は、二核性の繊毛虫類が持つ二種類の細胞核、大核と小核のうち、大核の核膜孔だけに局在する。このことは、脊椎動物以外で繊毛虫だけがPom121様タンパク質を持つことと、繊毛虫が二核性システムを成立させたこととの関連性を予想させる。繊毛虫核の構造的・機能的な分化に、Pom121様タンパク質がどのように関わっているのかを明らかにすることが本研究の目的である。 H27年度は、初めに、Pom121様タンパク質の機能解析に用いる遺伝子ノックアウト株の作成を目指した。ターゲティングベクターを小核に導入し、2倍体小核ゲノムのPom121様遺伝子がヘテロにKOされた株を作成した。現在、この株から、遺伝学的手法によって小核と大核の全てのPom121様遺伝子コピーが破壊された完全KO個体を作成中である。 次に、Pom121様タンパク質が大核の核膜孔複合体にだけ局在する仕組みを明らかにするため、Pom121様タンパク質に大核局在化活性をもつシグナル配列が存在するかを調べた。GFPと融合したPom121様タンパク質の様々な断片をテトラヒメナに発現させたところ、いつかの断片が大核内に特異的に局在した。このことから、Pom121様タンパク質の内部には大核局在化活性を持つ領域が存在することが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H27年度に計画していたPom121様遺伝子のノックアウトは、現在、小核ゲノム上の遺伝子を破壊した株が得られており、間もなく完全KO株が完成する見込みである。また、Pom121様タンパク質の内部に大核局在化活性をもつ領域が存在することを 明らかにできた。このような状況から、研究はおおむね順調に進行しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
Pom121様遺伝子の完全KO株が得られた後、様々な顕微鏡システムを駆使してその表現型の解析を行う。また、完全KO株にPom121様タンパク質の部分欠損変異体を導入するレスキュー実験を行って、表現型に関与する分子内の機能領域の特定を目指す。 一方、大核局在化活性を持つ最小配列を特定する。その配列領域を小核局在化シグナル(小核特異的タンパク質から同定済み)と置き換えた変異体を作成し、Pom121様タンパク質を小核の核膜孔に異所局在させた時に、小核の核膜孔複合体の構造と機能、さらには小核の形態にどのような影響が出るか調べる予定である。
|
Causes of Carryover |
消耗品の使用量が予定していたより少なかったため、物品費の支出に差額が出た。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度に使用量が予定に満たなかった消耗品については、次年度に使用量の増加が見込まれるので、次年度使用額は全額物品費(消耗品)に当てる。
|
Research Products
(7 results)