2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K07075
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
勝山 朋紀 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任助教 (70400273)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ショウジョウバエ / 成虫原基 / 再生 / 細胞リプログラミング / 細胞運命 / 決定転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,翅成虫原基内で隣接する二つの領域,pouch領域とhinge領域に着目し,pouch領域を遺伝学的に切除後にhinge細胞がどのようにしてpouch領域を再構築するのかを明らかにしたい.この目的のために,(1) pouch領域の切除と,(2) hinge由来細胞のトレーシングを同時に行い,さらには (3) 再生されたpouch細胞の可視化を,一個体内で同時に行える系の確立を行ってきた.Pouch細胞での遺伝子発現操作のために,当初QF/QUASシステムを利用することを考えていたが,遺伝子発現のON/OFFをGAL80で制御できる LexA::GAD/LOPシステムを用いる方が,本実験系をスクリーニングで用いる場合に適していることが分かったため変更を加え,系の改良を行った.並行して,本研究で重要な役割を果たす,erg2欠失酵母によるショウジョウバエ幼虫の蛹化抑制の実験系を用いて,実際に再生中の細胞リプログラミングが見れる系であることを確認した.3齢幼虫中~後期で発生を止めた幼虫の翅成虫原基において,Pouch領域を遺伝学的に切除すると,確かにhinge領域を含む損傷周辺領域の細胞で顕著な細胞周期re-entryと損傷部位を塞ぐように進む細胞移動が観察された.さらに,翅成虫原基においてpouch領域とhinge領域で特徴的な発現パターンを示すWinglessを用いて,pouch領域損傷後に発現パターンが再構築される過程を継時的に観察し,約72時間かけて完全にパターンが再構築されることを明らかにした.一方,pouch領域から出た大量の死細胞は,その大半が除かれることなくその場所にとどまっており,再び出来上がった原基細胞層と囲芽膜(peripodial membrane)との原基腔内に残っていた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的を満たすためのトランスジェニックショウジョウバエの作成に時間がかかったが,系を用いたスクリーニングの準備が整った.現在全てのトランスジーンを持ち合わせた系統を交配により作成している.
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り,再生中hinge細胞のトランスクリプトーム解析と細胞リプログラミングに関わる遺伝子の同定を行う.
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Causes of Carryover |
当初本年度に予定していたマイクロアレイ遺伝子発現解析,RANiショウジョウバエ系統の大規模スクリーニングなどを翌年に持ち越したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マイクロアレイ遺伝子発現解析に必要な試薬ならびにアレイチップ,RANiショウジョウバエ系統の購入に充てる.
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