2017 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation into an inhibitory role of Arp5 in cardiac differentiation and reprogramming
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15K07076
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森田 強 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80403195)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | actin-related protein / myocardin / 心筋 / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
Actin-related protein 5(Arp5)は、酵母からヒトまで広く保存された核内アクチン様タンパク質であるが、その機能は殆ど知られていなかった。私は、他の組織と比べて筋組織におけるArp5の発現が非常に低いことに着目し、筋分化におけるArp5の機能解析を行ってきた。本研究課題では、特に心筋分化におけるArp5の機能に着目し、Arp5が心筋分化を誘導する中心的転写因子であるMyocdに結合してMyocd/MEF2C複合体の形成を抑制することを見出した。実際、アデノ随伴ウイルスベクターを用いてマウスの心臓におけるArp5の発現を増加させると、心肥大とそれに伴う心臓の線維化が観察された。また、マイクロアレイ解析の結果、心臓におけるArp5の過剰発現はMyocdターゲット遺伝子の発現を顕著に抑制する一方、線維化マーカーとしてよく知られているcollgenやNPPA, galectin3の発現を誘導することが明らかになった。この結果から、Arp5が心筋分化の抑制因子であり、正常な心筋細胞ではArp5の発現レベルが低いために分化形質が維持されているものと考えられる。この結果を受け、Arp5の発現が高い細胞から心筋細胞への分化を誘導する際に、Arp5の発現抑制が分化誘導を促進するのかを検討した。P19CL6細胞はDMSO添加により容易に心筋細胞へと分化誘導することが可能であるが、この際、Arp5の発現をshRNAにより抑制すると、心筋分化マーカーであるTnnt2やMyh6の発現が顕著に促進されることが確認された。以上の結果は、心筋分化抑制因子であるArp5の発現抑制が、心筋への分化効率を上昇させることを示唆しており、再生医療における心筋リプログラミング効率の改善など様々な分野に応用できるものと期待している。
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