2015 Fiscal Year Research-status Report
マウス卵巣で機能的な卵胞形成に寄与する顆粒膜細胞の形成機構の解明
Project/Area Number |
15K07080
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Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
田中 聡 熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (10321944)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 性分化 / 生殖細胞 / 卵巣 / 顆粒膜細胞 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
生殖巣原基の形成は、胎齢10日頃に中腎の腹腔に面した体腔上皮において転写因子Ad4BP(Nr5a1/Sf1)陽性の前駆細胞が形成され始まる。申請者らは、生殖巣原基の形成のおけるその前駆細胞の形成機構に関する研究を行っている。様々な細胞系譜の前駆細胞集団の形成やその細胞数のプールサイズの調節に働くことが示唆されている転写因子(Sixファミリー)に着目し、生殖巣原基の前駆細胞の形成機構の解明を進めた。その結果、Six1とSix4は、Ad4BPの転写活性化を介してこの前駆細胞集団の形成を制御していた。生殖巣は、生殖細胞と体細胞の2種類の細胞系譜により構成される。興味深い事に、Six1とSix4は、生殖巣原基の体細胞の前駆細胞ばかりでなく、もう1つの構成要素である生殖細胞の前駆細胞集団の形成も制御していた。現在、この共通する分子機構の解明を目指して研究を進めている。また、生殖巣原基での雌雄の支持体細胞の形成、特に卵巣の支持体細胞である顆粒膜細胞の細胞系譜決定について解析を進めている。XY型の性染色体の組み合わせを持つ個体(雄)では、性決定遺伝子Sryを発現した細胞が、精巣の支持体細胞であるセルトリ細胞へと分化する。一方、XX型(雌)等の個体でSryを持たない場合は、その前駆細胞が顆粒膜細胞へと分化すると考えられている。そこで、Sryが十分に発現せず卵巣が形成されるXY型とXY型の野生型(精巣形成)、XX型で外来性にSryを発現して精巣を形成する個体とXX型の野生型(卵巣形成)間でそれぞれトランスクリプトーム解析を行った。現在、発現に差が認められる候補遺伝子群について、その機能解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年の10月から現在の所属先へと転職を行った。実験機器等の移動は完了している。本年度4月から正式に実験室のスペースをもらい、セットアップを進めている矢先に、地震による被害を受けた。実験室のフロアは(4階)、現在も給水設備の配管の損傷等の修復が進まず、水の使用が出来ない。また、遺伝子改変動物(マウス)を現所属先に移管する予定だったが、震災で動物飼育室の空調設備が被害を受けたため、移管を中断している。現在は、故障(落下)した機器類の復旧等に従事している。これらの状況のため、本来の実験計画に若干の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
可能な限り早急に、実験室の修復(水道、電気配線、壁の損傷等)を行い、実験機器等の設置、復旧を進める計画である。遺伝子改変動物も、飼育室が復旧次第、移管を行い、実験を再開する予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年の3月末に発注した物品類の納品が当該年度の予算処理までに間に合わなかったため、本年度予算が消費されずに残っている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
納品が済み次第、順次、それらの物品費の支払いを行う予定である。
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Research Products
(3 results)