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2015 Fiscal Year Research-status Report

造血性内皮細胞の分化制御:ES細胞から造血幹細胞の試験管内分化誘導を目指して

Research Project

Project/Area Number 15K07081
Research InstitutionKumamoto University

Principal Investigator

小川 峰太郎  熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (70194454)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords胚性幹細胞 / 中胚葉細胞 / 造血性内皮細胞 / 造血幹細胞 / アクチビン
Outline of Annual Research Achievements

確実に造血幹細胞に分化する能力を持つ造血性内皮細胞をマウス胎仔から取り出し、造血性内皮「標準細胞」として決定することを目的に研究を進めた。当初、C57BL/6×CBA F1マウスを用いる計画であったが、入手したRunx1-EGFPレポーターマウスがC57BL/6系統であるため、より標準的なC57BL/6マウスを用いることにした。長期骨髄造血再建能を解析するための放射線照射条件などを改めて最適化する必要があった。C57BL/6マウス胎仔においても、骨髄造血再建能を持つ造血性内皮細胞を単離できることを確かめたが、広く公開できる段階には至っていない。
マウスES細胞の試験管内分化において、アクチビンが造血性内皮細胞の分化を促進するメカニズムの解析を行った。これは、平成29年度の研究実施計画であったが、前倒しで実施した。アクチビンはVE-cadherin+ CD41+ 造血性内皮細胞の分化誘導を促進した。この効果を得るためには、中胚葉誘導時にアクチビンを添加するだけで十分であった。アクチビンは、VEGFR2+ PDGFRα+ 未分化中胚葉細胞とVEGFR2+ PDGFRα- 側板中胚葉細胞の分化誘導を著しく促進し、これらの中胚葉細胞からVE-cadherin+ CD41+ 造血性内皮細胞が分化することが明らかになった。アクチビン単独ではこの効果は得られず、OP9ストロマ細胞が必要であることも明らかになった。さらに、VEGFR2+ PDGFRα+ 未分化中胚葉細胞は、VEGFR2+ PDGFRα- 側板中胚葉細胞とは異なる経路で血液前駆細胞に分化できることも示唆された。この研究成果は、ES細胞から造血性内皮細胞を効率よく分化誘導する方法を見いだしたものであり、ES細胞から造血性内皮細胞を経て造血幹細胞を分化誘導する培養系を確立するための第一歩として大きな意義を有している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

造血性内皮細胞の「標準細胞」決定に関しては、使用するマウス系統をC57BL/6×CBA F1マウスからC57BL/6マウスに変更したため、骨髄造血再建能を解析するための放射線照射条件などを再検討する必要が生じ、当初計画よりやや遅れている。しかし、C57BL/6マウス胎仔においても、骨髄造血再建能を持つ造血性内皮細胞を単離できることを見いだしており、今後の研究の実施に特に支障はない。
一方、当初は平成29年度の研究実施計画であったアクチビンによる造血性内皮細胞の分化誘導促進のメカニズム解明を先行して行った。アクチビンは、OP9ストロマ細胞依存的にVEGFR2+ PDGFRα+ 未分化中胚葉細胞とVEGFR2+ PDGFRα- 側板中胚葉細胞の分化誘導を著しく促進し、これらの中胚葉細胞からVE-cadherin+ CD41+ 造血性内皮細胞が分化することを明らかにした。この研究成果は、ES細胞から造血性内皮細胞を効率よく分化誘導する方法を見いだしたものであり、ES細胞から造血性内皮細胞を経て造血幹細胞を分化誘導する培養系を確立するために非常に有用である。
以上の状況から、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断できる。

Strategy for Future Research Activity

当初の研究計画に基づき、骨髄造血再建能を持つ造血性内皮細胞をマウス胎仔から単離し、造血性内皮「標準細胞」とする。この細胞を培養して試験管内で造血幹細胞に分化させる「幹細胞誘導条件」を決定する。次に、造血性内皮「標準細胞」が発生する段階以前のマウス胎仔から造血性内皮細胞を単離する。この細胞は、そのまま移植しても骨髄造血再建能を示さないが、適切な条件で培養すれば造血性内皮「標準細胞」と同じ能力を獲得するはずである。この「標準化条件」を次に決定する。「標準化条件」と「幹細胞誘導条件」を連続して適用すれば、骨髄造血再建能を持たない造血性内皮細胞から造血幹細胞を分化誘導できるはずである。ここまでをマウス胎仔から単離した造血性内皮細胞を用いて先ず達成させる。その後、マウスES細胞から分化誘導した造血性内皮細胞を用いて、同じストラテジーで造血幹細胞が誘導できるか確認する。できないとすれば、ES細胞から造血性内皮細胞までの発生段階のどこかが胎仔を反映していないことになる。この場合、マウス胚から中胚葉細胞を単離して、造血性内皮細胞に分化誘導する「造血性内皮細胞誘導条件」の決定が必要になる。ES細胞から誘導した中胚葉細胞を「造血性内皮細胞誘導条件」、「標準化条件」、「幹細胞誘導条件」で順次培養し、造血幹細胞に分化誘導できるか確認する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2015 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Activin A in combination with OP9 cells facilitates development of Flk-1+ PDGFRα- and Flk-1+ PDGFRα+ hematopoietic mesodermal cells from murine embryonic stem cells.2015

    • Author(s)
      S. Hirota, M. Ogawa
    • Journal Title

      Biochem. Biophys. Res. Commun.

      Volume: 467 Pages: 583-588

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2015.09.131

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] S細胞の血液分化能に及ぼすアクチビンの効果2015

    • Author(s)
      廣田冴香、Tanzir Ahmed、田村-辻潔美、小川峰太郎
    • Organizer
      第38回日本分子生物学会年会
    • Place of Presentation
      神戸国際展示場(神戸市)
    • Year and Date
      2015-12-01 – 2015-12-01
  • [Remarks] 熊本大学発生医学研究所組織幹細胞分野

    • URL

      http://www.imeg.kumamoto-u.ac.jp/bunya_top/cell_differentiation/

URL: 

Published: 2017-01-06  

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